表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/26

第10話 規格外の成果

西の森から街への帰り道、カケルは何度も自分の鞄に手を添えて、その重みを確かめた。中には、ノルマを大きく超えた「月見草」と、夕闇の中でもなお美しく輝く「フォレスト・バイパーの魔石」が入っている。


(……Dランク。ミラさんは、深部は危ないって言ってたな)


新人のGランク冒険者が、森の入り口付近でDランクの魔物に遭遇し、あまつさえそれを返り討ちにする。それがこの世界の冒険者ギルドでどのような意味を持つのか、カケルにはまだ正確には理解できていなかった。


(念のため、報告も慎重になった方がいいだろう)


「……ミラさん、戻りました」


夕暮れの冒険者ギルドは、一日の仕事を終えた冒険者たちで再び活気づいていた。受付カウンターでカケルを迎えたミラは、彼の姿を見るなり、ホッと胸をなでおろした。


「カケル様! お早いお帰りですね。……お怪和はありませんか?」


「ええ、大丈夫です。これが依頼の月見草です。あと……」


カケルは丁寧に束ねた月見草の束をカウンターに置いた後、少しだけ声を潜めた。周囲に聞き耳を立てている者がいないか、さりげなく視線を巡らせる。


そして、懐から小さな布に包まれた「それ」を取り出すと、他の冒険者からは死角になるように、カウンターの陰でミラにだけ見えるようにそっと差し出した。


「ミラさん、これも……確認してもらえますか」


ミラの表情が引き締まる。彼女はカケルの意図を察し、表情を動かさずに布の隙間から中を覗き込んだ。一瞬だけわずかに目を見開いたものの、すぐに冷静さを取り戻して布を閉じると、周囲に悟られないよう事務的な微笑みを浮かべた。


「……カケル様、こちらについては少々、詳細な鑑定が必要かもしれません。……小部屋へ、よろしいでしょうか?」


「ええ、お願いします」


ミラはカケルを促し、カウンター横の小部屋へと案内した。扉を閉め、完全に密室になったことを確認してから、ミラは深く、震えるような吐息を漏らした。


「……カケル様、これ。冗談抜きで、フォレスト・バイパーの魔石ですよね?」


ミラの声は、蚊の鳴くような囁き声だった。


「はい。倒木に擬態していた、大蛇のものでした」


「フォレスト・バイパーはDランクです……。本来、初心者が遭遇して生き延びられる相手ではありません。……それを、これほど速やかに、かつ無傷で仕留めてくるなんて」


ミラは改めて、掌の上の魔石を食い入るように見つめ、慎重に鑑定を続けた。


「……正直に申し上げます。この品質なら、金貨十枚……いえ、二十枚には届く価値があります。昨日マスターが仰った通り、これをGランクのあなたが一度に受け取るのは、少々危険かもしれません」


「金貨、二十枚……」


一万円札二十枚分。つまり二十万円相当。カケルは、小さな魔石一つが持つ確かな重みに、思わず喉を鳴らした。


「そうですよね。……昨日みたいに、目立たないように処理してもらえますか?」


「はい。魔石の換金分は『ギルドへの預け金』として厳重に管理し、表面上の記録は、別の安価な素材の大量納品として処理しておきます。……月見草の達成報酬は、通常の銀貨五枚です。こちらは表のカウンターでお渡ししますね」


五千円の日給を受け取りながら、裏では二十万円相当の資産が積み上がっていく。カケルはミラの冷静で機転の利く対応に、心の底から感謝した。


「……それと、カケル様。余計なお世話かもしれませんが」


ミラは真剣な眼差しで、さらに声を潜めた。


「そろそろ、拠点を構えることを考えた方がいいかもしれません。これほど貴重な魔石を生成できる召喚獣たちを連れての宿屋暮らしは、いずれ隠し通せなくなります。拠点があった方がいいのではないでしょうか?」


「拠点、ですか……」


「ええ。街の外れにある一軒家を『借りる』という手もあります。人気のない場所なら、召喚獣たちをのびのびとさせてあげられるでしょう?」


ミラの言葉に、カケルはハッとした。狭い宿の部屋で、窮屈そうに寄り添ってくれた茶渋の温もりを思い出す。


「借りる、か。それなら今の俺でも、すぐに探せそうですね」


「はい。商業区の不動産ギルドを紹介しておきます。紹介状を書いておきますので、まずは条件に合う空き家がないか相談してみてください」


カケルはミラから報酬の銀貨五枚と、不動産ギルドへの紹介状を受け取り、平静を装ってギルドを後にした。


ギルドを出ると、すっかり夜の帳が下りていた。


「茶渋、ワサビ君。……俺たちの『家』、借りに行こうな」


カケルの呼びかけに、茶渋は力強く「ニャー!」と応え、ワサビ君はゆっくりと目を回して周囲を警戒した。まだ見ぬ自分たちだけの聖域を想像しながら、カケルは夜の街へと歩き出した。


執筆の励みになりますので、続きを読みたいと思っていただけたら、ぜひブックマークよろしくお願いします!評価もいただけると嬉しいです。


本作の他にも、完結済みの作品を公開中です。


■魔王軍、おもてなしの極致 〜聖女の笑顔のために軍予算を「観光」へ全振りしたら、魔界が爆益を上げ始めた件〜

https://ncode.syosetu.com/n1299lr/


■人間嫌いの私は闇の精霊(上級)に転生しました。~見た目が「黒い毛玉」なので無能と罵られましたが、契約主の孤独な侯爵令嬢と共にレベルアップして毒親たちを断罪します~

https://ncode.syosetu.com/n5749lp/


■異世界コンサルはじめました。~元ワーホリマーケター、商売知識で成り上がる~

https://ncode.syosetu.com/n5582kv/


ぜひこちらもお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ