想定外の再会
石田が呼んだのはマヒロの名前だった。
その瞬間、マヒロの表情が僅かに変わった。
(こいつ……もしかして石田リョウタ?)
中学時代、マヒロと同じクラスだったヤンキー崩れ。矢口といつも一緒にいたことを思い出した。
「……石田」
マヒロが静かに名前を口にすると、石田が顔を歪めた。
「ああ、やっぱりお前かよ。淡海マヒロ」
石田の目に怒りが宿る。
「たしか中学のとき、矢口の腕をぶっ壊してくれたよな。よくも、のこのこ俺の前に出てきやがったな!」
石田は手に持っていた袋を投げ捨て、一気に距離を詰める。そして、マヒロの胸倉を掴んだ。
「このまま帰れると思うなよ!」
「淡海君!」
ミホが叫ぶ。
マヒロは掴まれた瞬間に体に緊張が走った。石田の腕が、まるで紙のように感じられる。ちょっとでも動かしたら簡単に壊れてしまいそうで、その感覚が恐ろしく、手が動きそうになるのを必死で抑えた。
「……離せよ」
できるだけ低い声でそう告げるマヒロだが、石田はさらに力を込める。
「お前をここでやっちまえば、矢口もスッキリするだろうな!」
石田の力が強くなったその瞬間、マヒロの手が軽く動いた。石田の腕を掴み、ほんの少しだけ振り払っただけで――
「……っ!」
石田の体が後方に吹っ飛び、数メートル先の地面に転がった。
「やば、さすが淡海君っ」
後方から少し嬉しそうなサクラの声が聞こえた。
「マジかよ、リョウタッ!」
仲間たちが叫ぶ。石田は何が起きたのかわからないという表情で腕を押さえながらこちらを睨んだ。
「……だから言ったろ。離せって」
マヒロは拳を握りしめ、呼吸を整える。
「何もしてない、俺は何もしてない……怪我はさせていないはずだ……」
自分に言い聞かせるように呟きながら、マヒロは怯えたように震えていた。
石田は立ち上がろうとするが、取り巻きたちが慌てて彼を支えた。
「リョウタ、ここはやめとこうぜ!」
「くそがっ……!」
仲間たちに止められながらも石田は制止を振り払いマヒロに突進しようとした。
(もうやめてくれ!怪我させないように相手するのなんて無理なんだって……!)
マヒロは心の中で必死に叫んだが、石田の勢いは止まらない。
その時だった。
「おい、リョウタァ!」
暗闇から響いた怒号に、全員の動きが止まる。
石田は驚いたように振り返り、マヒロもその声に視線を向けた。
街灯の下に姿を現したのは、大柄な男だった。がっしりした体格と鋭い目つき。背中には圧倒的な威圧感がある。
(あれ……あいつ、もしかして矢口じゃないか?)
暗闇から現れたのは、当時の「イキりヤンキー」の面影を完全に脱ぎ捨てていた矢口だった。
■矢口キョウゴ(00001)
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!