嫌な予感しかしない
放課後、マヒロは昇降口に向かうため、渡り廊下を歩いていた。
「やっと一日が終わった……今日は平和だった。こんな平穏が続けばいいな」
そう思った矢先だった。
「淡海君!」
勢いのある声が背後から響き、振り返ると、サクラが走り寄ってくる。
「……またお前かよ。今度はなんだ?」
マヒロは眉間に皺を寄せたが、サクラはお構いなしに近づいてきた。
その後ろには、どこか不安げな表情の女子――夏川ミホの姿があった。見たことない顔だ。
「誰?」
「私の友達のミホ!今ちょっとヤバいことになってて――」
サクラが説明を始めたが、マヒロは面倒くさそうに手を挙げて遮る。
「いやいや、聞かなくてもわかる。先生に言え。それが一番だろ」
「だめだって!先生に言ったら石田にバレるんだよ!」
「石田って誰だよ!そもそもなんで俺が関わらないといけないわけ?」
「だって淡海君、強いじゃん!」
「関係ないだろ!俺、平穏無事に過ごしたいだけなんだよ!そんな明らかにトラブルの起きそうな事案に突っ込めるか!」
サクラの勢いに負けじと対抗するマヒロ。その横で、ミホがおずおずと口を開いた。
「あ、あの……私たち、あなたに迷惑かけるつもりはなくて……」
「いや、そもそも先生に――」
マヒロが再度断ろうとしたそのとき、サクラがニヤリと笑った。
「淡海君さ、こないだレンガを粉々にしたよね?」
「……あれはお前が強引にやらせたんだろ」
「で、その力を今使わないって、なんか勿体無くない?」
「……いや、普通に考えて使わないだろ」
マヒロが冷静に反論するが、サクラの勢いは止まらない。
「レンガ砕けるんだよ?それならヤンキーの一人くらい瞬殺でしょ!」
「やめろ、その発想が怖いわ!」
断り続けるマヒロだが、サクラの隣に立つミホの目は今にも泣きそうだった。
マヒロはその表情を見て言葉を飲み込む。
「ああ……俺、こんなの絶対に関わりたくないんだけどな」
深いため息をついたマヒロは、頭を抱えたままこう呟いた。深い深い葛藤の末、女の子の涙に勝つ事はできなかった。
「……話くらいは聞く。だけど、期待はするなよ」
サクラはパッと顔を輝かせる。
「よし!話せば絶対引き受けてくれるって!」
「だから期待するなって言ってるだろ!」
すでに嫌な予感しかしないマヒロは、もう一度深いため息をついた。
■芹沢サクラ(00002)
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
いいねやコメント、本当に励みになります!
いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!
それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!