281-285
281そんなじぶんで生きている
アマゾンの奥地の日本で
ヘッドホンを購入したが
その代金が返却されてきたので
電器店へ車を走らせ
別のヘッドホンを買ってきた
目的の物が手に入らないからといって
くよくよしてはいけない
前を向いて立ち続けている
コンビニで2万円のギフトカードを購入したが
すぐに失くしてしまい
また買う羽目になったりもしている
そんなじぶんで生きている
282境界線がない
30度を超える日々
労働者には労働時間の他に
休憩時間を設けられているが
この異常気象下では規定通りだと
足りない気がしている
汗水たらして働く人は美しいと
決めつけてはいけない
美しくないものと美しいものには
境界線はない
そこにはにじんだ世界がひろがっている
283何もない
空の向こう側には
宇宙が広がっている
真空の中を
魚たちが泳いでいる
花が咲いている
過去の生き物たちが
騒がしくしている
波が押し寄せ
それらをさらっていく
何もないことが
何もない
284過ぎ去りしアルバム
夕涼みに
蝉の声
かつてより
かすかに弱い
夏が
過ぎ去りしアルバムのごとく
閉じられる
そして記憶の中で
忘れ去られる
また来年騒がしくなるが
蝉は別の蝉
285クランチはしない
ロケットランチャーで
発射する願望
ランチタイムで
楽しむ嗜好
ラ・マンチャの女は
いるのかいらないのか
運動にいいからといって
クランチはしない