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第4話 未退院

「・・・は??」


こうなるのも無理もない。

見ず知らずの人達が目の前に現れ、渡された名刺には聞いたことのないものが書かれているのだから。


「この度はこのような不運な事故に遭われてしまって、言葉もないです」


「・・・」


「私どものxx市では、このような事故もそうですが、他のことでも女性を守り過ごしやすい環境を提供すべく動いておりまして」

「事故に遭われた時にも一度お伺いさせていただきましたが、清乃さまは昏睡状態でしたので、改めて一度ご挨拶にと思い面会させていただきました」


「・・・はぁ、、、?」


「一度目からの面会から間が空いてしまって申し訳ございません」


「あっあの・・・御用件はなんでしょう・・・か?」


もっともらしいことを言っている。

が、それ以上に怪し過ぎる。


「はい、このxx市には他の市にはない[女性を支援する課]なるものがございまして、そちらのご案内をさせていただきたく参りました」

「もっと早くに私どものことをお伝え出来ていれば、事故のことももっと支援が出来ていましたので」


「えっ・・・どうゆうことですか?」


「あの事故で弁護士を通じてどのようなことになったのかは存じませんが、最初から私共が携わっていればもっと有利に事を進めることが出来ておりました」


「・・・え??」


「あの事故は100%相手側の過失でしたし、色々調べていった中で飲酒をしていたことも私共は確認できております」


「・・・えぇ……」


嫌な記憶を思い出してしまう。


事故後は母が全部対応してくれていた。そんな母から大体の話は聞いていたけど、飲酒なんて知らないし聞いてない。

もちろんそれが本当かどうかも今となっては分からないし、母が茫然自失な私だったからあえてなにも言わなかったのかもしれない。


それでも、もし本当に飲酒での事故だったらって思うと・・・


「……」


「あの日、、被告は当日スロットで負けた腹いせに、自宅でお酒を飲み無くなったので、そのまま車で買いに行った」

「その時、清乃さまにぶつかった」


「、、、」

「でも、なんでそんなことを・・・?」


「それは言えませんが、我々はこの町で起こる事がわかるんです!」

「ですから、あの時我々の存在をご存知でしたら、もっと手厚いサポートができたので、とても残念です」


そう話す2人はネクタイをクイっと締め直し告げた。


戸惑いと悲しみ。

よく分からない感情のまま、私を置き去りにさらにこう話された。


「・・・また後日、お話させていただけたらと思いますが、こんな現状の清乃さまにお伝えするのも辛いですが、お伝えしたほうがよいと思われることがございます」

「そちらに関して、住民登録をしていただいた際にご登録いただけた清乃さまのスマホにxx市および女性を支援する課よりメッセージが届くと思いますので、ご確認いただけたらと」


「・・・はい、、?」


「ですが、そのメッセージはそれ相応の代償ではないですが、清乃さまにとって良いことか悪いことかいずれにせよ大きな内容になっている可能性がございますので、ご了承の上メッセージを開封いただけますとです」


「えぇっ・・・それは、、、どうゆう・・・」


「まっいずれにせよ、私共にとって必要なことだと思っておりますが、そのメッセージを見て清乃さまがご判断いただけたらと思います」


「えっ・・・あっあの・・・」


「ただ、今はお体をご自愛くださいませ」

「落ち着いた頃にメッセージがいくかと思いますので」


「んっ・・・あーぁ・・・」


「では、我々は失礼します」


タッタッタ,,,,,


有無を言わさず病室から去ってしまった。


1人残される病室。

嵐のような時間。


なんとも言い表せないこの感情。

これを1人で消化するのは・・・


2人が去った後、意識せずスマホを持ち親友にメッセージを打っていた。



———


あやの!

・・・今って少し時間あったりしないかな。。。?


———


あやのは中学校からの親友。

入学初日から同じクラスで一緒。

テニス部も一緒に入部し、それからずっと今もなお繋がっている清乃にとって唯一信用と安心ができる女友達である。

友春の愚痴はもちろん、たった1人付き合った事のある大学の先輩のことも知ってる。


なんでも話せるし、なんでも相談ができる親友。

その親友に息をするように連絡していた。


数分後・・・


———


きよのん〜

大丈夫だよ〜!!

・・・なんか電話のほうがよさそうだね

いつでもかけて♪


———


あやのらしい返信だった。

多分、今の私のメンタルの状況を理解してくれているんだと思う。


常に一緒にいるわけでも、毎日連絡をやりとりしている訳でもない。

でも、お互いに繋がってるって思える存在。


———


ありがとぉ〜>_<

・・・このあとかける・・・


———


———


いいよん


———


ほんといつも救われる。。。

そう、心で強く思った。

その後、すぐに清乃は病室からゆっくり歩き出し、電話してもよいエリアまで移動した。



プルルルル,,,,プルルルル,,,,ガチャ


「あっあや!!」


「きよのん〜久しぶり!!」


いつも聞いてる声に安堵する。


「いきなりだけど本当にありがとぉ〜・・・」


「いいよいいよ(笑)気にせんと!」

「あっそれより!退院おめでとう!!」


「あや??(笑)まだ全然入院生活だよ(笑)」


「またまた〜!そんな嘘いいよ(笑)」


「えっ・・・いやいや、まだだって!リハビリが始まってようやくゆっくり歩けるようにはなってきたけど」


「んーあ、えっ??」

「嘘だ〜!だって昨日、友春さんとデートしてたじゃん!!」


「えっ・・・?」


親友から告げられたのは、理解できない言葉だった。

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