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遅めの反抗期

作者: 捨てられたラムネ

それはもはや時間でもない。

ただの泡沫

大学に来た。だがそこには誰もいなかった。休講の連絡も来ていないはずなのに。

肘を机において頭をだれる。

誰も来ないのは当たり前だ。理由は聡明。だって、




――――世界は今日終わるのだから。





《遅めの反抗期》

携帯から一週間前のニュースが流れる。

隕石が落下して地球が滅ぶことを言っている。私は誰もいないし、仕方ないので、家に帰ることにした。

自転車をひいて道を歩いていると、すぐに家には着いた。

大学を期に家を借りて一人暮らしを始めたのだ。大学受験の際に実家から遠く離れた大学を選んだからだ。ここまではうまくいっていたのに、ここからだったのに、、、、。

――世界は今日終わるらしい。



10分くらいかけて家に帰ると、何をしようか考えながらベットに沈んだ。というかあまりにも非日常の言葉すぎて何度来ても頭に入ってこない。

『世界が今日滅ぶなんて』

といっても、特に今日が最後だからと言って何かしようか思いつかなかった。

いや、きっとあったはずなのにそれを考えられなくなっているのだ。


―――電話が鳴った。”母”からだった。

心臓がはねる。

母は私にとってどうしようもない人だった。

母の甲高い声は、私にはきっとあっていなかったのだ。わたしはきっとあってなかったのだ。だって、その声は、母の少しヒステリックさをより強調しているものとしか考えられなかったから。

母と私が会話をした数々の過去。

そこにきっと私はずっといなかった。会話と言っても、私はただ、母の言葉にうんとか、はいとか、そうだね、とかしか言ってなかったから。

それらをぼんやりと思い出している間もずっと電話は鳴り響いている。


私は、やっとの思いで震える手でそれを押した。拒否のボタンだ。今日世界が滅ぶことにかこつけたせい一杯の勇気。


そうすると、すぐに電話は静かになってうんともすんとも言わなくなった。

―息を吐いて、肩を落とす。目をつむると、そこには〈激情〉が生まれた。

すぐさま立ち上がり、ベランダに出て、私は叫んだ。


「だれが、世界が終わる日にお前の声なんて聞きたいか!絶対に出ないからな!ばーか!!」

そう言い終わると次はなぜだか笑えてきた。額を手すりにくっつけると我慢していた笑い声がかすかに出た。

そのまま気分が良くなったので、何も持たず出かけることにした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



道を歩いていると、包丁を持った男が現れた。

「ひ、人殺しがしてみたかったんだ。どうせ、世界は終わる。一足先にあの世に行ったってかまわねえだろ?」

男が私にいきなり襲い掛かってきた。

私は必至で逃げた。世の中にはこういったトチくるっていたやつが、わんさかいて、現代の社会規制によって目に見えなくなっていただけだと痛感した。

――そうか、今日世界は滅ぶんだ。そう私の中でやっとわかった気がした。


何とか逃げ切ったあと、息を切らしながら思い出したのは母のことだった。

あの人は護身術なんて知らないし、運動もできる方ではない。なんせ、ずっと専業主婦をしていた人なんだから。

母の前に、ああいった馬鹿が来ても母はあの甲高い悲鳴を上げるだけでまともな抵抗もできないことは容易に想像がついた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



――私は走った。無我夢中で東に走った。

実家は電車で二時間もかかるところにある。

私が走っても実家に着くまで、何時間かかることか。もう昼過ぎで、今から向かったところで間に合うのか、どうか。

携帯も、ない。

それでも走った。走ったら、実家には着くような気がした。そんな気がしたのだ。

思惑通り、実家には着いた。今にも死にそうだ。

走っている間に歯がぼろぼろと抜けた。意味が分からない。とりあえず、水が欲しい。

満身創痍で実家のドアを開けた。

そこには、姉と弟がいた。そうだ、私には兄弟がいた。

今の今まで失念していた。だが、そんなことは今はどうでもいい。

それよりあの人は。母はどこだ。

リビングに入ると、電話をかけている母が見えた。

私と母は目が合うと、母が駆け寄ってきた。


「どうして電話に出ないのよ。」


汗だくな私を見て言うことがそれかよ。

そうぼんやり思いながら、私は母の前ではっきりと言ってやったのだ。


「一週間前からずっと電話してくるな。鬱陶しくて仕方がなかった。クソばばあ。」


そう言うと、母は顔をしかめ、困った顔をしながら


「今日で世界が終わるのに、なんて言いようと態度なの!これは、あれね。」


「「反抗期」」

――――声が、重なった。














―――――――目が覚めた。

夢だったようだ。何かなっている。電話だ。

しかも母から。

私は、一度電話を切って、ベランダに出た。そしてもう一度電話を自分からかけた。

つながった後、私は電話の向こうにいる相手に対して夢でも同じ言葉を言った。





こんな感じの話、作るのは好きだけど、読むのは楽しくなくなるよね。

なんでだろう。

やっぱり作った瞬間に消えるからかな。

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