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月の兎の回顧録

作者: 夏木

ピョンと耳を傾ける。

ヒソヒソ ヒソヒソ ヒソヒソ

「ねね!次につくお餅は昆布餅だって!!」

「いい!いい!昆布は天の河産?楽しみだね!」

うさぎが跳ねて作業を始める。おもちをこねて都の天人様達におくります。

よいしょ!よいしょ!よいしょ!

ウサギがお米を運びます。

「うーん…うーん…」

あれ?目の前でウサギが倒れています。

「どうしたの?」

「あぁ、ごめん。疲れちゃってね。ここ最近はたらいてばかりだからねぇ……」

おや!これはいけません。木槌で性根を叩き直しましょう!

えいっ!とうっ!やあっ!

「痛い!痛い!分かったよぉ。すぐにはたらくよぉ。」

怠けうさぎは足早に立ち去りました。


うさぎ餅を作るところでした。最近のうさぎはなってませんね


昆布を取りに行くため天の川まで船を漕いでいきました。

すいー すいー すいー 

川の星がとてもキラキラと光っています。

「ぎゃああああ!!」

うしろに乗っていたウサギが転げながら叫んでいます。よく見ると目がメラメラと燃えています。

近くにいたウサギが駆け寄ります。

「あちゃあ、こりゃ目が焼かれちゃったね。いくら綺麗だからって太陽なんてみるからだよ……」

「痛いよぉ!消さなきゃ!!消さなきゃ!!!」

うさぎは火を消そうと川に飛び込みます。


ザポーン!ブクブクブクブクブク………


しばらくすると、うさぎの背中が川から上がってきました。

太陽は見過ぎないように気をつけましょう!!


しばらく船を漕いでいると昆布の繁殖地に着きました!

うさぎたちが一斉に海にとびこみます!

ザポーン! スイスイー スイスイー

しばらくするとうさぎたちは昆布を片手に上がってきます。

「うわぁ!今年の昆布は大きいね!」

「そうだね!きっと天人様たちもお喜びになるよ!」

こら!天人様の意思を勝手に決めてはいけません!

木槌でおしおきです!


ゴズッ!

「……。」 


うさぎが海に沈んでいくと周りに黒い影がゾロゾロと集まってきます。

大変!ワニたちが集まってきました!


バクバク!バクバク!バクバク!


「助けてー!」

「いやあ!いやあ!食べないでぇ!」

うさぎが次々とワニに食べられています!

しばらくすると何匹かのうさぎが船の上に上がってきます。


噛まれたうさぎの皮が赤くなっています。


でも大丈夫!こんな時の為に便利な道具があります!

ヌリヌリ ヌリヌリ 

「ありがとう……。」

「どういたしまして!」

背中をドンっと叩きます。


「痛い!沁みるよぉ!」

ジャリジャリ。塩が肌を削ります。

「うぅ………かぜがいたいなぁ。」


それから作業場にもどって、うさぎたちはとってきた昆布を混ぜながら、おもちをつきました。


ペッタン ペッタン ペッタン ペッタン メチャ!


「ぎゃあ!」


大変!おもちをかえすうさぎの指がつぶれてしまいました。


近くにいたウサギたちがおもちから指を離そうとしますが、中々とれません。ウサギたちは困ってしまいました。

「うーん。困ったなぁ……」

そこにうさぎの一人が声を上げます。

「そうだ!腕を木槌で叩けばとれないかな?」


いい提案ですね!

うさぎたちが木槌を持って腕をちからいっぱい叩きます。


ヨイショ!ヨイショ!ヨイショ!


腕が餅からとれました!これできちんと餅がつけますね!

それから半刻ほどしてこんぶもちが完成しました!!


うさぎたちは完成したお餅を持ってきゅうでんへ向かいます。


うさぎたちはこうべを垂れてお餅を献上します。


「天人様!こちらが今回のお餅でございます!」

天人様がお餅を受け取ります。

「うむ。よきはたらきであったぞ。」

「はい!私共も皆様の為に働けて大変うれしゅうございます!」


うさぎたちが立ち去ろうとすると、天人様が大声を上げます。


「なんだこれは!うさぎの毛が入っているではないか!!一体どうしてくれるのだ!!」


うさぎたちは頭を地面にこすりつけてあやまります。

「申し訳ございません!!私どもの命でどうかお許しください!!」


うさぎたちはお互いの頭を木槌で叩き合います。


エイッ!ゴツン!ガン!


「……。」


「しかたがない。次の餅を持ってこさせよう!」


天人様はもちの代わりにお肉をたくさん食べました!


めでたしめでたし。









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