リリコ
7話 リリコ
「我が祖先より伝わるは魔除のカードの力を」
「ソフィちゃんソレをはじめっから出しなさいよぉ……テテッ背中うって、腰痛までもテッ」
「夢魔よ、見よ!」
このカードに邪眼は効かない。そして。
「夢魔を封じよっ!」
あの占いカードは魔除、裏面の魔封じのカードなのか。
「夢魔を封じよ!」
アレ、何も怒らない。間違ってないはず。
あ、呪文か。
「夢魔を封じよ。ルクッテ・ヤニ、カズ・シガロコ!」
ウソ、なんでおばあちゃんは、絶対効くって。
「ちょっと間違えた。ルクテッヤニ、カズシ・ガシロコ! 夢魔を封じよ!」
「はぁ、ナニを封じるって、お嬢さん」
「む、夢魔……」
「人間は、思ったよりおバカさんね。今日はとても愉快だわ」
夢魔の腕が伸び、私の腕を掴み、引き寄せた。
私の倍はある背丈。
宙ぶらりんにされた。
「夢魔、夢魔って、私をそんな下級な奴らと一緒にしないで」
「おまえはインキュバスじゃないの? イヤァア」
夢魔の片方の腕が、私の首下から服を裂いた。
「そんな、ダボついた服など……。イイ身体をしてるね味わいがいがあるわ」
「あ、やめって」
夢魔の口から出た長く赤いすい液だらけの舌が頬に。
ナニ、この甘美な香り。
「最後に私の名を教えてあげよう。私はリリコ」
「えっ、あの映画コメンテイターの。リリコ、そういえば顔似ているな、あんた」
「うるさい! 発音がなってないわ。リリコだ!」
オーナーに毛髪パンチが再び。また、壁に。
「バカな人間どもは、私をリリトだのリリスだのと勝手に名前をつける、私らの言葉ではリリトはPPPで、リリスはⅤⅤⅤなんだよ!」
「ヤダッ!」
リリコと名乗るバケモノの手が私の両足首を持ち開いた。
「やめてエリス! バクが来るよ……」
「ナニを言う、カナ。とうとう頭がおかしくなったか……」
「その人を離して……バクが、来るから」
「うるさい女だ、バクだぁ。そんなものはいないよ」
「あなたは知らないの。この国には、昔から居たのよ夢喰う鬼がバクの正体はソレなの」
「夢食う鬼だって、だから言っておろう、私は夢魔ではないと」
夢魔は、縛られたカナごと椅子を蹴り飛ばした。
ころがる調子にカナの縛りが椅子からとけた。
「そんなもの居るのなら呼んできな」
「居るわよ、リリコ! 欧米にもナイトメア・イーターの伝説があるじゃない」
リリコが私の顔に額の第三の目を近づけて。
顔が近ッ!
「そんなウソ言うんじゃないよ、女。わたしゃそんなヤツ、聞いたことないねナイトメア・イータ一だって」
「やめてっ、ドコ触ってるのよ!」
つづく