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獏を探す娘

 1話 獏を探す娘


「わたしバクを探しているんです」


 今日、最後のお客の第一声が、コレ。

 あ、私は「ウィッチ・パラダイス」という魔女グッズを売ってるショップの占いコーナーで占いをしている。

 ソフィア・マーベル・佐伯。


 目の前のお客。歳は若いちょっと見、中高生。まぁこのショップの客がだいたいそのへんだから、多分彼女も。


「バクですか。あの鼻が短い象とイノシシみたいな、四足の」

「いいえ、悪い夢を食べてくれるというバクです」

「はぁ、あれですか幻獣図鑑とかに出てる妖獣の」

「はい、それだと思います」


「なるほどね。あなたは悪い夢をよく見るのね。それならバクの絵を枕の下に入れて、バクにお願いしてから寝るとイイと聞くわ」

「バクの絵ですか。わたし動物園のバクしか知りません。動物園でバクのコト言ったら笑われてしまいました」


 この子は夢食う獏のコトを本気で信じてるみたい。


「そうね、夢を食べるバクは動物園には、いないから」

「で、よく当たるというソフィアさんにバクの居場所を」

「それは、占いでは……。とりあえずやってみますね」


 私はいつもの様にフランス人の祖母から受け継いだカードをテーブルに並べた。


「並べたカードを2枚ひいて。考えないで、コレと思ったものよ」


 彼女は一番近い場所のカードを2枚取り見せた。

 一枚は眠る美姫の絵、そしてもう一枚。ヒトでないものが描かれたカード。


「こっちの気持ち悪い物はなんですか?」

「いろいろな解釈があるの。おみくじの凶みたいなものね。あなたが悪夢を見るのがよくわかるカードね」


「そうだ、ここにある本に獏が載っているのがあるからコピーしてあける。コレを使ってダメならまた来て、次は千円レシート無しでいいから」


 下のショップで、千円以上の買い物をして、もらうと占いコーナーで占いが出来る仕組みだ。



 土曜日の夜。深夜まで営業している魔女グッズショップ「ウィッチ・パラダイス」は、昼間の学生からOL等の年齢層があがり、けっこう客は、まだ多い。


「いやあ、正解だったね。はじめはマイナーかなと思ったから客はあまり来ないかと。イイねぇ若い子たちがワンサカやってる」


 なんだか、店に不釣り合ないのが、この店のオーナー。

 スキンヘッドで濃い黒のサングラス。黒いスーツなんで、よくMIBと言われる。MIBならいい方だと。海外のギャングとか、香港マフィアとか言われると。

 名前は松平武(まつだいらたけし) 私のいってた大学の大先輩。


 実業家で、他に会社をいくつか経営している、このショップのあるビルは彼の所持ビルで5階建て。 

 一階が魔女グッズ等の魔法物やおまじないグッズとかで、商品を千円以上買うと占いサービスが受けられる二階がココ。

 三階はショップの事務所。

 4階はアオイ探偵社。

 五階は賃貸マンションで、今は私が住んでいる。2世帯あるがなぜか隣は空いたままだ。


「探偵家業じゃね、この店に来るような子はいないよ。うん、わかる? ソフィちゃん」

「そうなんですか。あ、そうだ。オーナー。バクを知ってますよね」


               つづく

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