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絶望奇譚  作者: 焼ミートスパ
第8章 有名お笑い芸能人からの喧嘩を買ってみた
29/80

28 ADさんが懇願してきた

「お願いですからスタジオに戻ってください!」


ADさんが頭を下げてお願いしにきた


大変だよね


ADしたっぱというのも





「だが断る!」


ネットで仕入れた作法で断った


なんでも昨今の正しい拒絶の様式美だそうだ




テレビのバラエティでタレントさん達がやると大ウケらしい


ほんとかね?



まあここはテレビ局


そしてシチュエーションはそれっぽい


なので言ってみたら聞いたADさんの顔が絶望に染まった


どうやら正解らしい






・・・しかしこれはこれで結構たのしくね?


そんなことを思ったボクは結構クズかもしれなかった


いやバラエティの出演者がクズなのか






でもねこの放送局、いやこの番組か、の方がクズなんだよ


なにせ痴漢冤罪被害者のボクを引っ張り出してきて晒し者にするつもりだったんだから




おまけにボクには


「ぜひ被害を受けたことを世の中に知らしめましょう!」


とか言っていたんだよ?


・・・本当にクズだよね





でもボクは最初っから信じていなかったけどね


冤罪被害になってから人間を信じるのを止めているから





『人を見たら泥棒と思え』


って格言が昔からあるけど、最近のボクの場合は


『話し掛けてきたならば何か裏があると思え』


だもの





つまり


『自分以外はすべて敵』


そういうこと





まあ実際に今回の番組出演も裏があったので間違っていなかったんだよね




裏があると思って待ち合わせ時間の2時間も前に放送局を訪れてみたんだ


こちらの予想どおり、さすがに早すぎたので適当な部屋で待つことになったと思ってくれ


そこでコソコソと嗅ぎまわってみました





首から下げる臨時の入門許可書って最強だったね


なにせあるだけで大抵の所に入り込めた





入室禁止の所に入りそうになったら


「トイレを探していて迷っちゃって」


と誤魔化したらあっさり許された





・・・この放送局のセキュリティは大丈夫かと言いたい


まあそのおかげで今回の裏側が判った訳なんだけどさ




ボクが呼ばれた生放送の番組は知らされていた


『こんなに酷い目に遭いました』


ではなくて


『痴漢冤罪被害者のボクを毒舌と名高い芸人がツッコんでオロオロするのを愉しむ』


だっっていうのが判明した


・・・視聴率すうじのためならなんでもするんだな





でも安心してください


番組出演に際し交した契約書には


『肉体的精神的苦痛を感じたら本人の一存で退席してよい@罰則なし(意訳)』


と書かれている


いやボクが追加して貰ったんだけどさ


だって自分以外はすべて敵だと思っているからね






『ド素人なので芸人のようなリアクションはできません』


そう言ったら契約書にホイホイ追記してくれたよ




どんだけボクを引っ張りたいのか判るってものだね


ボクを嵌めてその反応を見て愉しむ気満々だったね




まあそんな事情が判っているので足元みて他にも10項目くらい追加したんだけどね





だからボクの行動は間違っていない


たとえ生放送開始10分で退出したとしても、である


契約書があるからどこからも文句をつけられる謂れはない






という完璧な布陣だからADさんは懇願してきた


情に訴えるというやつだね



下っ端は大変だよね


上の人間の尻拭いで




でもボクは付き合う謂れはない


という訳で一緒になってADさんを苛めてみた





・・・悲惨なADさんを見ても全然心が動かないボクの心はやっぱり壊れていると思う

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