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絶望奇譚  作者: 焼ミートスパ
第6章 取り調べた警察官に人誅してみた
22/80

21 警察学校にて草むしり

秋が終わり冬がそろそろ始まろうとしている


おかげで風が冷たい


そんな中、草むしりをする俺


どうしてこうなった、と言いたい





寒さで草が枯れ見苦しくなっているから草むしりが必要なのは判る




警察学校では


『生活の乱れは見た目から』


と教官が口を酸っぱくしてまで言っている




制服、寮、教場、風呂、トイレ


すべてがピカピカになっている




しかし今は例外がある


それがグランドだ


いや敷地の周辺も、だ





本来なら生徒が行うものだが今はされない


俺にさせるためだからだ




いわゆる見せしめ、というやつだ




あれは半年くらい前のことだった


男子高校生が痴漢したと通報があった




加害者である男子高校生は否認していた


だがそんなのはいつものことだ


この仕事をしていれば人間とは嘘をつく存在だと身にしみる






人を殴って病院送りにした現行犯として逮捕されても


「やってねえよ!」


などと言う若者




違法ドラッグの売買の容疑で監視され、取引の現場を押さえられても


「歩いていただけだ!」


という大人





未成年の少女に淫らな行為をするためにホテルに連れ込んでおきながら


「気分が悪いと言っていたので休ませようとしただけだ」


というイイ歳した大人





どいつもこいつもいい訳にならないいい訳をして罪を逃れようとしやがる


この町にはまともな市民はいないのか、と言いたい





まあそんなクズ達を刑務所に叩きこむのが警官おれの仕事だ


喜んでやっていた


なにせ俺が働けば働くだけでクズが居なくなるからな!






被害者の女子高校生の証言と取り押さえた会社員の証言があれば大丈夫


そう思った




だって今までだってそれで通用していたんだ


最初は否認していても裁判になる頃には罪を認めることになる




会社員なら会社をクビになった上に、離婚して妻子が去っていくからな


護るのものがあるから罪を認めないのだ


それがなくなれば逃げる理由がなくなる





裁判では


「日頃から仕事のことで鬱憤が溜まっていた」


だとか言って素直に証言している





だったら最初っから自白ゲロしろよ!、と言いたい





とまあ今まではそれでも良かった


ところが今回、いや半年前だから前々々回くらいか?、は違っていた






男子高校生は冤罪だったんだ


女子高校生の金目当ての狂言


なんでも示談にして金を受け取るのが目的だったんだとか




絶対に警察は悪くないだろ?


まあ騙された警官おれもバカだったと言われればそれまでだったんだが





ところが今回被害にあった男子高校生はヤバかった


痴漢として緊急逮捕した際の取り調べを録音していたんだ





そこまで冷静に対処できる素人がいるのかと言いたいが実際にいたのだから仕方がない


いや仕方がないでは終わらないんだ


だから俺は係長の座を追われ警察学校こんなところで草むしりをしているのだから

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ちなみに、所轄の係長は基本警部補がなります。 巡査部長は主任ですね。
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