俺、何で転生したら公爵令嬢何だよぉっ!?〜『婚約者!?ムリムリムリ!!』と思っていたら婚約破棄された〜
「さてと、陛下に挨拶しなくては……」
突然だが、俺の名前はジェニー・スュルフだ。
「俺?」と疑問に思ったそこのお前。言いたい事は良く分かるぞ。
俺は“元”日本男児。色々あってこの世界に転生したらなんと“公爵令嬢”だったんだ。正直言って超〜戸惑った。記憶を持ったまま転生するなら性別を男にしてくれよ、と何度思ったことか……。
それでも、転生して15年。正直……慣れた。人の順応力って凄いんだな。
そんな俺の一番の敵、それは……
【婚約者】
どんなに努力しようとも婚約者はムリ。男とあれやこれや、イチャつく事するのは絶対にムリ。生理的に受け付けん。
しかもその婚約者はこの国の王太子……「実は中身、男なんですっ!」って言えたらどんなに良いことか。
ふと、今はこの国の陛下主催の舞踏会に来ており、挨拶に向かう途中だったと思い出す。
自分の足元を見ていた目の前にコツコツと現れるブーツ。視線を上げるとそこに居たのは噂の婚約者様。
ん……?側にいる女は誰だ??
「ジェニー・スュルフ。お前との婚約を破棄させて貰う!!そして、俺はこの令嬢、シーナ・サラテックと新たに婚約を結ばせてもらう!!」
ざわつく周囲の貴族達。驚いて見せているのは面だけで内面では何が起こるのかとワクワクしているに違いない。この世界には娯楽が少ないのだ。そんな世界では噂話や騒動が一番の娯楽だ。
と、いうかな?シーナ・サラテック……誰だそれ。聞いたことないんだけど。てか、婚約破棄!?え、え、喜んでっ!!テンプレ的な婚約破棄かな!?婚約者の中身、男ですがね!
てか、殆ど王太子に接触しなかったから知らなかったけど婚約破棄騒動起こすなんて馬鹿王太子だったのか。
「理由は分かるな?お前は学園でシーナが下級貴族だからといって……俺が気に入っているのを分かっていて嫉妬し、虐めていたそうだな。しかも先日は井戸に突き落とそうとした、と!!度が行き過ぎている!」
虐め?……何のことだ。第一、こんな女初めて見たが?嫉妬などする訳がないしな(笑)
だが、婚約破棄に関してはウェルカムだが、そのような疑惑があればスュルフ家の名を貶めてしまうな。それは回避しなくては。
ヒロインにあたるシーナという女は王太子に張り付いて怯えている。だが、演技なのが俺にはバレバレだ。時折こちらをチラッと見て「にんまり」と優越感に浸っている姿には笑いを誘われる。
俺、中身、男、だぜ?この事実を知っている者がいたらこの女の行動は大爆笑ものだな。
面白い事を考えていたが我に返り、すぐに反論しようとする。が、背後から伸びてきた手でそれを制される。その手の主は優しげな瞳をした第二王子だった。吊り目の王太子とは対照的でまるで似ていない。
「兄上、証拠はあるのですか?私にはジェニーがそのような事をするとは到底思えませんが」
「っ、見てみろ、この怯えているシーナの姿を。これが演技だと思うか!嘘だったら、王太子の座を譲ってやろう。それ程に確信できるのだ!」
「では、シーナ嬢の証言だけで証拠は無いのですね?」
どうやら、俺を庇うために出て来てくれたらしい。正直言って、貴族・王族特有のゴタゴタは苦手なので助かる。
「っ!い、いいえ。確かに私は池へ落とされそうになりましたわ!」
「い……け……?シーナ、落とされそうになったのは井戸では無かったのかい?」
「っそ、そうですわ。井戸でしたわ」
いや、明らかにボロ出したし。さすがの王太子でも、変に思ったか。焦る姿は非常に怪しいもんな。
「所で皆さん。このような状況で陛下が介入されて来ないのが不思議ではないですか?」
第二王子のその言葉を受けて皆が一斉に陛下の方へと視線を向ける。
「はぁ……」と呆れたように大きな溜息を一つついた陛下は椅子から立ち上がり、王太子と女を睨みつけるように見た。
「レンド、お前は先程言っていたことを理由に今夜、婚約破棄騒動を起こそうとしている事を宰相の息子に漏らしたな?連絡が入り、実際にジェニーがそのような事を行っていたのか事前に調査を行っていたのだ」
「なっ!?」
「結果は勿論、白。……さて、シーナ。理由を説明できるか」
「わ、私は!………………っ、その女が邪魔だったのですわ!私は次期王の妻になって……!!」
やはり、そういう事か。と、いうかな?この話だと陛下は婚約破棄騒動が起きると分かっていたわけで……俺に教えてくれといたら良いのに。
まぁ、とにかく今日の出来事と王太子は予想外過ぎた。……今まで婚約者が嫌すぎて近寄んなかった俺も俺だが。
「騙したことを認めるのだな。シーナは家の関与の裏も取れている。サラテック家ごと取り潰す。もう、帰る場所はないぞ」
「っ……!!」
「……では、次はレンドだ。王族の言葉は重い。それ故、先程の言葉は撤回できんぞ。お前は、王太子……いや、王族の座から降りてもらう。新しい王太子には第二王子のレクスを。あぁ、勿論ジェニーとの婚約は解消だ」
唖然とする王太子と女。だが、俺の頭の中は大フィーバー。
(やったぜ!!男とイチャつく未来回避っ!!)
王太子達の処罰なんてどうでもいい。婚約解消万歳!!
「馬鹿げた迷惑をかけてしまいすまなかったなジェニー」
「!!そんな、頭を上げてくださいませ」
婚約が無事に解消出来たのは第二王子と陛下が介入してくれたお陰なんで。本当にThanks!!
「ジェニー」
ふと、第二王子が俺のことを呼ぶ。
何だろうかと思いながら後ろを振り返ると、第二王子は俺の目の前に跪き手を取り指先に口づける。そして、ふんわりと微笑んでくる。
「ジェニー。こんな時で悪いけど、いつも凛としている君が好きだったんだ。…………婚約してくれますか?」
「……え゛」
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『性格の悪い神様のチートな《愛し子》となってしまった私は異世界にて天命に全力で抗おうと思いますが世の中上手く行きません。』
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