3、紹介
ミクルについていくと、大広間に着いた。
司は息をのんだ。
大広間はいろいろな貴石で装飾されていて、荘厳だった。
「おはようございます。ミクルです」
「おはようございます、ミクル様」
神官の一人が答えた。
「こちらの方は?」
「結城司と申します」
司は自己紹介をして、お辞儀をした。
「司様は、私が召喚した勇者育成係です」
「何ですって?」
神官は驚きの声を上げた。
「勇者様のお供と言えば、ドラゴンやカーバンクルなど上位モンスターが定番ですが、良いのですか? ミクル様?」
「ええ、私が気に入ってるの」
ミクルは平然として答えた。
「あ、名乗り遅れました。私はレストと申します」
神官が司に言った。
「よろしくおねがいします」
「とはいえ、勇者様のお供は奴隷と同じ。たいした待遇は期待しないように」
司はむっとしたが、自分には出来ることがないと悟り、静かに口を閉じていた。
「今この国は、魔王の脅威にさらされています」
「ええ、レスト」
ミクルは答えた。
「先日も遠くの街、ミレスが魔王に消されました」
司は驚いた。
「街が消される!?」
「ええ、そうです」
レストは説明を続けた。
「魔王は、魔物退治を続ける人間を敵と見なしているようです」
「だからって、街を消すなんて・・・・・・」
司がそう言うと、レストとミクルは頷いた。
「だから、勇者が魔王を倒さないといけないんです」
ミクルは言った。
「私は目の前で両親が消えるのを見ました」
ミクルのぎゅっと握られた手が震えている。
「だから、司の力が必要なの。どんな手段を使っても」
「ミクル・・・・・・」
レストが言った。
「司には勇者見習いの従者として、修行をしてもらいます」
「一体何をすれば良いんだ?」
司はミクルに尋ねる。
「とりあえず、私の言うことを聞いていれば良いわ」
ミクルは司を値踏みするように見つめた。