16、夕食
「司、起きて! 夕食の時間よ」
ミクルが声をかけた。
俺はいつの間にか眠っていたらしい。
寝ぼけ眼をこすりながら、部屋を出る。
「司、疲れてるの?」
「ちょっと考え事をしていたんだ」
ミクルは、ふうん、と言った後、食堂に向かった。
食堂にはすでにユーリがいた。
「こんばんは、ミクル、司さん」
「こんばんは、ユーリ」
俺とミクルが席に着くと、食事が運ばれてきた。
「今日、司ったら一人でミレスに行ったのよ」
「え!? 危ないですよ、司さん」
「大丈夫だよ」
俺は運ばれてきたスープを一口飲んで、パンを囓った。
思っていたよりも、空腹だったらしい。
一口食べたら、余計にお腹が空いた。
「明日は、海辺の町、サクレンに行こうかと思ってるんですが」
ユーリは言った。
「サクレンの町は、しばらく行ってないわね」
「ええ。司さんも一緒に行きませんか」
「分かった」
俺はユーリの誘いに頷いた。
「なんだか、表情が険しいですね、司さん」
ユーリが言った。
「なあ、ミクルとユーリは家族に愛されてたか?」
「なによ、急に? 愛されていたに決まってるでしょ」
「うちも大事にしてもらっていたと思います」
「そうか、良かったな」
俺がそう言うと、ミクルが言った。
「司は違うの?」
「俺は……まあいいだろう?」
俺は、毎日のように生むんじゃなかったと親から言われていたとは言えなかった。
「サクレンの町には何かあるのか?」
俺が聞くと、ユーリが答えた。
「海岸があります。後は特別なものはありません」
「ヨークの村が襲われたから、警戒しているのよ」
ミクルが答えた。
「そうか」
俺はそう言って、残っていた食べ物を飲み込んだ。
「それじゃ、明日は早めにサクレンの町に向かいましょう」
ミクルもそう言うと、食事を終えた。
ユーリは先にコーヒーを飲んでいた。
俺たちはそれぞれ部屋に戻っていった。
「ユーリもミクルも家族には恵まれていたのか」
俺は少し羨ましく思った。
ベッドに潜っても、なかなか眠りにはつけなかった。




