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1、目覚め
「ここ、どこだよ」
結城司は、あたりを見回した。
「確か俺、会社帰りに女子高生が車道にフラフラって飛び出したのを助けたんだよな」
司は頭をグシャグシャとかきながら、朧げな記憶をたどろうとした。
「勇者教育係様?」
鈴を転がしたような声がした。
声の方を見ると、16歳くらいの美少女が、薄いヴェールだけを身に付けて司を見ている。
「あなたは?」
「私はミクル=ユリサス。勇者候補生の1人です」
ミクルの言葉を聞き、司は自己紹介をした。
「俺は結城司。28歳、、、」
司はそこまで言って、自分の声が少し高くなっていることに気づいた。
部屋には全身が映る鏡があった。
そこに映る司は、下着姿で、何より若かった。
18歳くらいに見える。
司は戸惑いながらもミクルに聞いた。
「ここはどこですか?」
「シラヌイの宮殿です」
ミクルは話し続けた。
「私が召喚魔法を使ったら、あなたがここに現れたんです」
「魔法!?」
司は驚いた。
どうやらここは異世界らしい。