5 お呼び出し
(´・ω・)∫
「昼だ、昼だ!愛、今日も弁当分けてくれ〜」
「いいけど……大地、本当によくそれだけ食欲あるね」
ドサッと2つくらい袋に入ったパンやらおにぎりの山を机に置く友人にそう言うと大地は微笑んで言った。
「体育会系だからな。愛も食べないとでっかくなれないぞ?」
「いいよ、どうせもう身長伸びないから」
「確かに、140cmだっけ?」
「違う!ギリギリ155cmあるから!」
「ああ、151cmだったっけ」
悪びれた様子もなくそう言うので思わずぐぬぬとなってしまうが……い、いいもん。だいぶ前に隼人と琴音には身長追い抜かれたけど、順調に育ってるもん。
「ん?なんか騒がしくないか?」
「そういえば……」
話を逸らそうとした訳でもないだろうけど、入口付近がやけに騒がしい気がするのでそちらを見てから思わず唖然としてしまう。
「愛くん。お待たせ」
手を振ってる銀髪の美少女はまさしく俺が知ってるあの人で……しかも、目立つように俺を指名するからクラスメイト達はヒソヒソと聞こえるトーンで話す。
「今、愛くんって……」
「おいおい、百合姫様今度は男の娘に手を……」
「まあ、確かに有栖川くん可愛いけど……」
誰が男の娘だとキレたくなるが、隣でパンを食べ始めていた大地はこの事態に特に気にした様子もなく言った。
「先約あったなら、仕方ないな〜。今度ご飯食べに行っていい?」
「呑気だねぇ……」
「だって、愛がモテるのは仕方ないからね。まあ、珍しく女の子にモテてるみたいだけど」
少なくとも男にもモテたくはないかなぁと、思っていると白銀の百合姫様は俺に近づいてきて手を取ると言った。
「じゃあ、行こうか」
「えっと……どこに?」
「2人きりになれる場所」
その言葉に興奮する男子達と一部悲鳴をあげる女子。おい、男子。何故興奮するんだ。百合じゃないぞ?俺は一応男だからな。確かにファーストコンタクトで必ず男物着てても女の子扱いされるけど正真正銘男だからね。
まあ、悲鳴をあげた女子は白百合さんのこと好きだったり、憧れたりしてる人で、俺後で刺されるかもなぁと若干背筋が寒くなりつつお弁当箱を持ってトコトコ着いていくのだった。
にしても、笑顔で手を振る友人には後で説教が必要かもしれない。あと、頼むから焼きそばパンを一口で食べきるのは止めて欲しい。デザート感覚なんだよなぁ……