1 女装喫茶の常連客
需要なさそうだけど思いついてしまった····;;(∩´~`∩);;
白百合梨々香といえば、うちの学校では知らない者はいないほどの有名人だ。文武両道、才色兼備のスーパー美少女で、見た目も白銀の美しい髪と鮮やかな青い瞳の美少女なのだが……彼女が有名なのはそれだけが理由ではない。
名は体を表すと言うが……彼女は文字通り女の子が好きなのだ。同性を恋愛対象として見てるようで、よく他の美少女との浮いた話が耐えないほどの存在で、それでも果敢に告白した勇気ある男子はあっさりと冷たく一蹴されてしまうそうだ。
『白銀の百合姫』……いつからか、そんなあだ名がついて男子で彼女に迫る者は居なくなったらしい。これは噂でしかないが……とある、横暴な男子の先輩が彼女を無理矢理押し倒そうとして影で控えていたSPに取り押さえられたという話もあるそうだ。
なんでも、その先輩は他人の彼女だろうと寝取る真のクズだったそうだが……その後、先輩は退学してどこかに飛ばされたという話もあるらしい。うん、まあどこまで本当なのか分からないけど……そんな噂もあって、彼女は謎めきつつも女の子好きの美少女として有名人となっていたのだ。
そう、そのはずだが……
「アリスちゃん、こっちおねがーい♪」
眩い笑顔を浮かべる『白銀の百合姫』がそう言うのは、源氏名、アリスこと、有栖川愛……うん、俺だよね。場所は俺のバイト先の喫茶店………うん、喫茶店なんだけど、俺が務めているのは普通の喫茶店ではなく、所謂女装喫茶と呼ばれるマニアックな喫茶店だ。
不本意ながら、童顔なせいでスカウトされて、破格のバイト代に目がくらんでこうしてバイトをしているのだが……ここ最近になり足繁く通い始めた『白銀の百合姫』のお目当てが俺らしい。
いや、なんで?
「アリスちゃーん」
「はーい。お呼びですか?」
うん、客観的に見ればめっちゃキモイかもだけど、声がそこそこ高いせいで特に違和感ないのが悲しいことだよね。
「ねえねえ、アリスちゃん。今日こそID教えてよ〜」
「もーう、だからそれは秘密だって言ったのにぃ」
「いいじゃん、アリスちゃんのこともっとよく知りたいんだよ」
……色々おかしいよね。男の俺が女装して女の子に迫られるって。こんなの中学時代に女装してなかったのに女と間違えられてオジサンに痴漢された時以来の感覚だ。男と分かっても続けたオジサンに本気で目眩がしたけど、イケメンさんに助けられたのが苦い思い出だったりする。
そんな訳で……俺、有栖川愛は学校一有名な『白銀の百合姫』に何故か言い寄られてます。