第5話
(小声かつ暗め)
はい、こんにちは。レイラでぇす。
みなさん、元気ですかぁ?
レイラはなんと、死んじゃいました。
今、レイラ喋ってるんですけど、
死んでるんです。
何言ってるかわからないって?レイラにもわかりません。
もう、泣きたいし、喚きたいし、吐きたいんですが、死んでるので瞬きも出来ません。
ピクリとも動きません。
レイラの数メートル先に、
レイラの下半身が転がってるんですが、
綺麗な切断面から、腸が出てます。
あ、もしお食事中の方いらっしゃったら
誠に申し訳ございません。
(大きな声からの諦め声)
……あっ!
嘘。ウソウソッ。
オゲーッ。
ただいま不適切が発言がありましたこと、謝罪を申し上げます。
犯人に右膝ちょっと下食べられました。
………次は左足首より下です。
他の部分は結界のこちら側に落ちたようで、犯人達が集まって来ましたが、無事みたいです。
あらっ?下半身が紫色に薄く光だしましたよ!
この上半身も光ってる………かな?
わかんねーや………
あ、またまた失礼しました。
下品な物言いでしたね。
現実逃避したいので、状況説明させて頂いてもよろしいでしょうか?
簡単に。
(普通のトーン)
初めてのオアシスで、ルンルンに果実を大量ゲットした後、これまたルンルン気分でオアシスを出発しました。
マップを確認すると、歩いて3日程で次のオアシスに着く事が分かって楽勝じゃん!って思いながら、歩いていました。
半日ぐらい歩くと、マップに変化がおきたんです。前方広範囲に、それこそ、砂漠の右端から左端まで結界の緑で分断されている区域があったのです。緑の線は2本ありました。
レイラは、そこの砂漠も誰かに管理されているのかなぁ?って単純に考えたんです。
そして、その結界を越えた途端………
一瞬のことでした。
何と!下から突き上げられて、宙を飛び、ホントに一瞬で、上半身と下半身はさようなら。
ですよ!
ここで、この言葉を使うんでしょうね。
『不幸中の幸い』
ママチャリが重たかったおかげか、下半身と切り離された上半身は、ママチャリに手をかけたまま結界の外に落ちました。
下半身もこう見ると、結界のライン上に落ちたようですね。
そして、先程見た光景に繋がります。
結界内にあった足はレイラの見ている前で食べられてしまいました。
うーん。
これはあれですね!
単純に考えますと………
多分、この綺麗に引かれた線2本の結界内は、
あれです。危険区域的な?
異世界をなめてた訳じゃないんですよ。
でも、聖域に守られてたから、危機感が薄まってたんでしょうか?
いやぁ、一瞬でした。
犯人は、サメです。砂漠なのに。
今、結界のあちら側にウジャウジャ、サメがいます。砂の中を泳いでいます。砂に背びれたくさん。シュールな光景です。
………でわ、またぁ。
ちゃんとチート能力で生き返ることが
出来ましたら、お会いいたしましょう!
どれくらい時間がたっただろうか。
数メートル先にあった私の下半身が磁石で引きずられるように、私の方にズズズッズズズッと近づいてきて、切断面にピトッとくっついた。
動けないので、詳しくは分からない。
目が閉じれなかったので、近づいてきた砂まみれの下半身の切断面と食いちぎられた自分の足を間近で見てしまった。
これは、トラウマ確定じゃない?
今は死んでいるせいか、感情は動かない。怒りも悲しみも恐怖もない。
今の私は、ただの物体としてそこにあるだけ………
「かはっ。」
喉に血の固まりがあったようで、それを吐き出すと呼吸が楽になった。
腕の時計を見ると、時刻は夜の11時。私の死亡時間。約10時間。
起き上がる事が出来ない。
時間をかけ、ゆっくりと仰向けになり、
身体の状態を確認する。
まず………生きてる。
生き返った。
呼吸が出来る。吸って吐いて。吸って吐いて。目も瞬き出来る。口もさっき血を吐き出したので、開くのが分かった。
右手。グーパーグーパー。
左手。大丈夫。
力を入れて右手を持ち上げてお腹に落とす。
ある………ある。切れてはいないようだ。
下にそろそろ手を動かす。
なかった右足。
ある。
掃いていたズボンは、膝上ぐらいから下なくて右手が直接地肌に触れた。
足首を回す。右、左。大丈夫。
足の親指と人差し指を擦り合わせてみる。
両方、足はある。
靴は………ない。
「ふぅぅぅ~。」
深呼吸のような、ため息のような息を吐き出す。
……………生きてる……………
「うわっ。」
目を覚ますとそこは………オアシスでした。
しかも、服のまま、お湯に浮いてました。
……………お湯?
大きな水球がなぜか、温かい。
その水球に顔だけ出してプカプカ固定されている状態。
「解除」
何も考えずに水球の解除をすると、
「がっ!痛ッ。」
水球の下底にママチャリがあり、腰を思い切り打ち付けました。
死亡時から腰への負担半端なくないか?
大丈夫ですか、私の腰さん。
速攻で回復かけとくね!
状況が掴めず、わたわたする。
確か、死んで、復活して、病んで(精神が)。
一直線に最初のオアシスに帰ってきたかんじがする。裸足で………夜中(夜中だったから足の裏無事だったけど昼間だったら足裏やばかったんじゃないだろうか)歩いて、オアシスにたどり着いて、気絶するように寝て。
それで?
思い出せない。さっきのはお湯だった。
どうやったの?
全然、記憶ないんだけど?
謎。
(下品、偏見、支離滅裂注意
レイラは今、ママチャリの横で寝転がっている)
まじ、衝撃だったわ!
ハッ!死んだんですけど~いえいえ、一瞬の事だったので痛みはなかったんですよ。
いや、あったのかな?
切られて飛んで落ちて。熱い!と思ったような思わなかったような?
痛みを本格的に感じる前に死んだ……のかな?
全く思いだせぬ。
死んだ後は死んでるせいか感情なんてなくて、自分の足が食べられたの見ていましたよ。
瞼閉じれなくてさぁ。
いい位置に下半身あったからね。
腸がデロッと出た瞬間。
サメもどきに自分が食べられる瞬間。
………おぉぅっ………
いや、止めましょう。うん。
自分が死ぬ所を見るなんてめったにないだろうけどさぁ。
(正確に言うと、死んだ瞬間を見てはいないんだよね。見たのは死んだ後の衝撃シーンってそれはどうでもよくて)
まじで!ないわ!
サメもどきに足喰われて………なんだよ、あれ。サメ!!砂漠にサメっておかしくね?
結界に遮られて下半身の残りを食べれないからか、結界沿いにジャンプするサメ共。悪夢や!
今までトカゲとサソリしかいなかったじゃん。
反則じゃね?
わらわらいたわ。わらわら。
(あークソッお酒飲みたい。あっスーパーで買ってた激安ビールがあったな。あれ、飲むか)
体は通常通り動くようになっていたので、上半身を起こして、ママチャリのアイテムボックスから350mlの缶ビールを取り出す。
プシュッ。ゴクゴク。
(………ぬるい………まずい………でも………染みる……)
100円いかない激安ビールが異世界での癒しになるなんて。ぬるくてまずいけどね。久々の刺激物。そりゃ、涙も出るよね。
つーかさぁ、もともと、無理なんだよ。
30越えた普通のママが異世界冒険なんて。
あのイケメン。いや、もうイケメンに思えないわ。あのガ…キ。いや、ガキはいけないな。
いくら、心の中の口が悪いっつっても、ガキなんて言葉は使ったことないんだから。
ダメダメ。
あの高校生の子が来たらよかったのに。
あの子ぐらいの夢や希望に溢れている年齢の子がするべきだろ。冒険。
上限は、まだ大人の世界に足踏み入れたかも?ってぐらいの20歳すぎぐらいまでじゃね?
もう、柔軟な心はどっか置いてきたんですけど~
ガッチガチに固まった大人脳ですわ。
こんな辛いことを、他人に進めるのかって?
いや、そこは若さのパワーがあるから!
若いは無敵だから!
そもそも、男子高生だったら、送り込まれたのは砂漠じゃなかった気もするわ。なんとなく。
………はぁぁぁ~
もしかしたらはないのだけれど………
でも、私じゃなかったんだから。
この世界で……なんだ?オレツエェェ?するの。あの子に今すぐチェンジお願いします!!
はぁ。この先、どうしたら………
マップを見ると、縦長の結界が砂漠の端から端まで覆われている。つまり、右に行っても左に行っても危険ゾーンなわけで。
右っつーか北の方に歩いて砂漠を抜けると、次は大森林に入るみたい。砂漠の次は深い森って、超ハード。
南は海。異世界の海………ヤバそう。
やっぱりこのまま西に結界越えして、大砂漠側の大国に入るのが無難なような。
つーかつーか。
あれっ?私は何をすればいいんだっけ?
何だっけ?魔王を倒して、人間を救う?だっけか?はっ?やっぱバカじゃね!!!
サメに殺されましたけど~
わたくし、弱々なんですけど~
身体も。ココロも。
魔王とか、まじ最強に無理ゲーっす。
もう、ヤダよ~
帰りたいよ~
チェック!!
あいつだけは許さん!
行き着くのはやっぱりそこッ!
あいつだよ、あいつ。
ゲームオタクのくせに。なんかゲームピコピコやってたけど、次あそこに行ったら、絶対、初期化してやる。くそ~
雷の神チート魔法もらえば良かった。
パソコンに雷打ち込めれば一発でデータ飛びそうじゃん。
いや、魔法はあの空間使えないかもしれない。
“チェック魔法”使えないかな?
使えたら、ガンガンレベル上げまくって、最大級の一発おみまいしてやれるのになぁ。
そうだ!武器あんじゃん!今、横に!
魔法使えなくても、筋力上げて、これで殴ろう!
私をいつも助けてくれる安心安全な相棒だけど、乱暴には扱いたくないけど!
このハンドルの部分でピンポイントに殴れるように練習しよう。
今はレベル補正がかかって、どんどん筋力が上がってる気がするけど、あの空間で、レベル補正かからなくても攻撃が出来るようにひたすら鍛えよう!
フフフ。
目標が定まったらスッキリしちゃった。
1回死んじゃったけどさ。
ちゃんと生き返ったし。
うんうん。
頑張ってレベル上げて、サメもどきもぶっ飛ばして、邪魔するものは全部ぶっ飛ばして!
なんか能筋的な考え方みたい。フフッ。
能筋上等!それで神様殴れるなら全然いいよね。
おお!私、大丈夫かも。何となく。
最終目標は定まったし。最初から何が何でもゆうま(子供)の元に帰るって決めてるし。
ゴクゴクゴク。
残ってるビールを一気に飲み干す。
(あれっ?同じビール?ありゃりゃ。さっきと味違う!めっちゃ美味しい!気分が変わって味覚も変わったか。単純すぎだろ!私………)
よし!死んだけど。
気持ちもかなりマイナスになったけど!
私、頑張れる!死んで生き返ったことで、何かが吹っ切れた気がする。
殺される前に殺せって言ったら、めちゃくちゃ言葉悪いけど。だけど、そのくらいの決意でやっていかないと、中途半端じゃ異世界やっていけないようだし。
まずは、サメに、復しゅ………じゃなくて、リベンジだ!
ガンバロー!オー!




