表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能力者は棺の中で眠らない  作者: s_stein
第1章 死後の世界戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/62

30.2つの争い

「この世界で起きている2つの争いを説明しないといけなくなるが、ある程度は聞いている――みたいだな」


 心の中で『知っている』とつぶやいただけで、読まれてしまった。


「まず、フィロソフィーとの戦い。

 彼らは、天国の使者からも地獄の使者からも逃れていたんだが、いつの間にか手を結んで、我々を潰そうとしている」


「なぜ手を結べたのですか?」


「どちらの使者にも妨害活動をしなかったから。単に逃げ回っていたおかげで、そうなったというのが正しいが」


「まあ、敵対関係になければ、お互いに利益があるなら手を結びますよね。

 それで、我々を潰す目的は?」


「妨害活動をする我々の排除」


「でも、その目的はフィロソフィーの目的ではなく、使者の目的ですよね?」


「もちろん」


「単に使者から利用されているだけにしか思えないのですが。

 フィロソフィーには、何の利益があるのですか?」


「彼らが新生ゲートへ行くことに対して、使者が手出しをしないという確約だ」


「ということは、彼らはすでに新生ゲートの場所を知っている!?」


「いや、まだ彼らは知らない。それは我々も同じ」


 僕は、彼らがすでに知っているのなら、捕まえて締め上げて、白状させようかとも考えた。だが、知らないのでは仕方ない。


「ハハハッ! 締め上げるねぇ……。出来るものならやってごらん」


 また心を読まれてしまった。困ったものだ。


 まあ、たとえ知っていたとしても、僕たちをここまで弾き飛ばす異能力者の集団相手に、まず無理だろう。


「そして、もう一つの争いは、使者との争い。

 昔は、地獄の使者も天国の使者も『断る』と言えば引き下がったのに、ある時をきっかけに強引に連れて行こうとするようになった」


「それは、何がきっかけなのですか?」


「実際に目撃したわけではないので推測も入るが、『断る』と言わずに、いきなり使者を攻撃した者がいて……」


「ああ、なんとなくわかります。恐怖に駆られたってやつですね」


「そういうことだ」


「きっかけって、もしかしてマテマティックの誰かですか?」


「全員ではないが、その一人だ」


「やっぱり……。なんか、アーベルならぶん殴りそう……」


「使者は聞く耳を持たなくなったから、我々も説得をやめた。こうなると、争いを続けるしかない」


「僕は最近この世界に来たので、争いのない平和な時代を知りませんが、だからといって争いを肯定しません。

 今の争いは無益です。フィロソフィーの連中まで担ぎ出されて、混乱が大きくなっています。このままでは、我々は壊滅してしまいます」


「では、何か秘策でもあるのかね?」


 僕の方へ鋭い目を向けるヒルベルトは、僕の心を読もうとしているみたいだ。


 とにかく、無心になる。


「……ないのだな?」


「今はありませんが、いつかは考えてみせます。みなさんのためにも」


 僕は、ガウスが消えた建物の辺りに目を向けた。


 すると、そこに何やらうごめく白いものが見えた。


「ヒルベルトさん、あれ」


「来たな、噂をすれば」


 彼は、すっくと立ち上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=864234457&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ