21.次なる作戦
「じゃあ、次の目的地を説明するわよ」
円陣の真ん中にいたエイダが、持っていた端末を使って説明を始めた。
「次はここを取り囲むの」
人数が多いので、交代で画面を覗き込んだが、指さす先は時計台に見えた。
「もう、ガウスとネーターは、ここの正面の広場に向かっている。
ガロアとアーベルは、ガウスたちと合流して。
デデキントとポアンカレと私は、ここの右側に待機。
そして――」
エイダが僕の方を見た。
「セッキーとジェルマンとコワレフスカヤは、ここの左側に待機」
僕は、作戦の目的をあえて聞かなかった。なぜなら、周りで誰が聞いているかわからないからだ。彼女だって、「時計台」を「ここ」としか言わないのだから。
それから、僕らは「(インビジブル)」と心の中で唱えて、透明になった。
これで、建物の中を通り抜けられるのだから、便利である。しかし、互いが見えないのでテレパシーで会話をするのだが、この姿勢を維持するのが未だに慣れなくて不便である。
とにもかくにも、僕とジェルマンとコワレフスカヤは、時計台の左側にある路地をゆっくり歩いていた。
薄暮の街並みなのだが、ここの世界は、ずっとこの明るさだ。太陽がどうなっているのか気になるのだが、死後の世界の天体運動は、気にしない方が良いのかも知れない。
会話から、僕たちが最後に到着したことがわかったのだが、これは僕がのろいせいだ。一応は謝罪したが、作戦中だからか、全員が無言だった。
時計台は、三階建ての建物の高さ。古めかしいレンガ造りで、窓がない。横幅が20メートルくらいあるので、割と広めの建物だろう。
『今、出て来た!』
テレパシーで聞こえてきたガウスの声に緊張する。位置的に正面の出入り口が見えないが、そこからフィロソフィーの一員が出て来たのだろう。
『側面の者は正面の広場へ移動せよ!』
ガウスの指示に、僕たちは足音を立てないように急ぐ。
徐々に時計台の正面の広場が見えてきた。黒いコートを着て黒いシルクハットを被った人物も見えてきた。あれが、今回のターゲットなのだ。
と、その時、広場に異様な光景が広がった。
まだまだ戦闘経験の浅い主人公のセッキーは、これからも経験豊富な仲間からいろいろと教わります。
一人で何でも解決するスーパーマンでも、最初はこんなものでしょうね。




