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経緯と目標

ーナキア視点ー


 目の前の非現実的光景。絶体絶命のときに現れたのは空か降ってきた瀕死の黒髪の少年。私は彼の黒い瞳に映る熱い真っ赤に燃える何かを感じた。もしかしたら助かるかもしれない。私の運命はこの少年に左右されるのかもしれない。その時私は唐突にそんなこと思った。


 マンティコアに追われる前。私は里の中にいた。エルフとして成人を果たした私だったけど周りよりも見た目が幼かった。それもコンプレックスだった。さらに他とは違う、緑色の髪これが私の人生を苦しめていた。他と違うという理由で私は虐げられた。閉鎖的なエルフの里でも更に閉鎖的な私の里は少し鬱憤が溜まっていた。そのはけ口になったのが私だった。


 唐突だった。親から私を奴隷にするといわれたのは…。なにやら強い人間の冒険者がエルフの里にやってきたらしい。私はその生贄になるようだ。人間は村長にひとりエルフを渡すと帰ってくれると約束したそうだ。この里に広がるアマデウスの森には凶暴な魔物が多数生息している。それをハイエルフの秘術によって防いでいる。そのせいで他のエルフの里との連携は切れ、里の中で細々と暮らす日々だ。

 それでも私は毎日薬の研究をするのは楽しかったし、回復魔法を練習するのも楽しかった。ずっとひとりでいつか誰か怪我してもすぐ治せるように…私はそればかり考えて生きてきた。


 だから…人間の奴隷になるなんてごめんだった。私は卑しい人間なんかのために薬を作ったわけじゃない。私はエルフを家族を守るために今日まで努力してきたんだ。だからいっそ人間の奴隷になるくらいなら死のうと私はエルフの里をとびだした。最初は初めて結界にでたことで気分が高揚した。でもそれは一瞬ですぐに凶暴な魔物に見つかってしまう。高揚とした解放されたのは一瞬のことですぐさま重たい枷に繋がれたように死という絶望から逃げて逃げて逃げて逃げた。


 追い詰められた私は今更気がついた。死ぬのは怖い。当たり前のことだった。閉鎖された里で育った私にそんな自殺するような度胸なんてついていなかった。必死に助けを呼んだ。けど来ないと思った。私を必要としてくれる人なんているはずがない。回復魔法にも薬剤にも自信はあるけどそれを誰にもふるまってこなかった私を誰かが助けてくれるはずがないと思った。


 それでも叫ぶしかなかった私は一生懸命叫んだ。そしたら黒い何かが落ちてきた。それがその黒い少年クロムだった。クロムはあっという間にマンティコアを無力化する。すごい魔法だと思った。生物をこんなに簡単に無力化する。触れただけで体力を奪うその魔法はとても凶悪な魔法だと思った。


 クロムは酷い怪我を負っていた。あんな怪我を負ってこの森に居ればすぐに死んでしまうのは見て明らかだった。でも人間簡単に信用してはいけないことは私が一番わかっていた。

 警戒心をあらわにした私を見ても、彼は私に何も求めず、それどころか自分を置いて里に帰れと言い出したのだ。人間はエルフを見ると発情する生き物だと聞いていた私はそんな雰囲気のないクロムに彼は違うんだと少し安心した。実際にきた強い人間の方は冒険者はたくさんの女のエルフに囲まれて鼻の下を伸ばしていた。


 私は彼を治療することに決めた。人間だからって関係ない。彼は見ず知らずの私を助けてくれた。その恩を返さないのはエルフとして恥じだ。彼は私が治療していることに驚いているようで、何かどこか恥ずかしいそうにしていた。


 彼が規格外なことは薄々気が付いていた。私の回復魔法はこんなにも一瞬で回復しない。それは自分が一番わかっていることだった。でも彼は瀕死の怪我を私の回復魔法を何倍にも増幅させたかのように自分の怪我を治した。


 緑髪のエルフを見ておかしいといわない彼。それどころか普通という。彼自身緑髪のエルフをみたことがあるという。ほんとかどうかわからない。私を励まそうとしたのかもしれない。


 今彼は元気のない私を気遣って一人で野宿の準備をしている。彼は本当に人間なのだろうか?私には人間には見えない。でも、けど、彼はとてもやさしい男の人なんだということは分かった。


「さあ。できたぞ。ナキア」


 今私の目の前には非現実的な光景があります。私が落ち込んでいるうちにクロムはあれよこれよと野宿の準備を終わらせ、夕飯の支度をしていました。

 こんな森の中にまともな食料があるわけがない。まして肉汁滴るおしそうな食べ物なんて。

 何十年も村で生活してきたけど、とれるものは木のみや栽培した野菜類、果実、ハチミツなどだ。肉なんてそうそう食べれれるものではないのだ。動物も魔物に襲われてなかなか見つけられないから、肉を食べるのは数年に一回だ。それをこの一瞬で調達してきたことに驚愕する。一体この短い間にクロムに驚かされてきたのだろうか


「エルフは肉は食べられなかったか?

 まあ無理なら野草も出すが」

「いえ!私の里では大丈夫です!

 いただきます!」


 私は勢いよくかぶりついた。口内にはいると絶妙な焼き加減のおかげでとろける。ちょっとピリッとくる香辛料もいいアクセントになっている。噛むたびに油が溢れてきて、こんなに上質な肉を食べたことが無かった。


「とてもおいしいです!」

「そうか?まあこれはさっき殺したマンティコアの肉なんだけどな。

 特殊な調理をすると食べられるようになるんだ。

 お?こいつはうまいな。久しぶりの肉が体にしみる」

「え!?マンティコアの肉!?」


 普通魔物の肉は食べることができません。魔物は大気中の魔力のよどみから生まれるものです。そのためその肉には人体には有害な毒素が大量にふくまれているため食すことができないはずなのです。


「そうだぞ?まあ毒はちゃんと無くしてあるから、安心して食えよ。

 落ち込んだことがありゃ、おいしいもの食って、楽しいことして、美しい景色みてりゃ、立ち直れるもんさ」

「…そうですね。クロム。ありがとう。」

「ああ。」


 ああ。私久しぶりです。こんなに幸せなのは。もう与えられることは無いと思っていました。他人からの優しいさを、暖かい想いを。彼の言う通り緑色のエルフを探す。いないと決まったわけじゃない。私の知らない世界はまだまだある。彼なら連れて行ってくれるはずだ。色々知らないこと教えてくれると思う。このおいしい料理のように


これからも視点変更をかなりやっていきます。

作者の飽き防止のためなので、モブ視点のときやられキャラ視点などもあると思います。


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