裏切りの跡
俺はいつも孤独だった。それは俺が産まれた時からだと思う。完全に自意識ができたころには両親に恨まれ、友達は俺の真っ黒な鱗と血のような赤い瞳を見て畏怖した。
俺の何がいけない?ただ鱗が黒いだけだ…。いつしか俺は龍の里で邪龍と呼ばれるようになっていた。
「なんでお前はそんな真っ黒な体で産まれてきたんだ!
両親ともそんな鱗の色じゃない!」
両親の悲しく、怒った顔がクロムの目に映った。おおよそ息子に向ける顔ではない。両親を殺したかのような、自分の人生を台無しにしたかのような奴に向けられる顔だった。
「はぁ。何とか生きてるか…」
目を覚ます。久しぶりに夢を見た。ともに戦った聖龍と勇者に攻撃されたことだろうか?それとも守るべき人間たちに裏切られたからだろうか?多分両方なんだろうだと思う。
もう俺は裏切られることになれたと思っていたが、それでも心が痛む。
なぜ?おれが邪龍だからだ!
体を起こそうとする。しかし傷が深いせいか動かすことができない。魔力を循環させて回復に努める。そこでふと違和感に気づく。循環速度が異常なのだ。龍のからだはとても大きいそれゆえ体全体に魔力を巡らすまでタイムラグが生じる。しかし今はそれが無い。まるで体が小さくなったかのようだ。
いや今はこれでいいか…。これくらい早ければあとひと眠りもすれば動けるはずだ。
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「よし。傷は治ったな。しかしこれはどういうことだ?
これは人の体か?呪術でもかけられたか?」
あれから体の修復のために眠って起きてみれば、自分の傷は完全に治っていた。
しかし、俺の目に映ったのは忌まわしき黒い鱗ではなく、人の肌色の皮膚であった。考えられることとして極大魔法の中に俺を弱体化させる魔法があった。それが人化の魔法だった感じか?
タイムラグで発動する呪術か。人化の秘術はとても危険な魔法だ。龍の膨大な魔力が人間という小さな器に詰め込まれているのだから。俺は大丈夫だけど他のやつがこの呪術をくらえば間違いなく魔力暴走で死んでいる。大きすぎる魔力をコントロールできないからだ。これはこの呪いをかけた者を探さないといけないな。弱っているとはいえ、龍である俺に呪いをかけれるほどだ。他の龍たちも心配だ。
「とりあえず、ここを出るか。
久しぶりに日の光を浴びたい。」
それに今は邪龍の姿でなはい。人間とコミュニケーションがとれるかもしれない。少し憧れる。
今、俺がいる場所は真っ暗な洞窟だ。自然が作った洞窟であり、ダンジョンやそういう類のものではない。すぐ隣には水が流れており、俺が流されてきたことは考えなくても分かった。戻るのは選択肢には無いのでそのまま水が流れているほうへ歩いていく。途中で歩いていてもしょうがないと思ったので走ることにした。
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しばらく走っていると光がみえた。どうやら出口のようだ。魔力循環が速すぎるせいで人では到達できないほどのスピードを軽くだせる。時々はしる痛みも高速回転する魔力に即修復されるので気にせず走る。しかし全力には程遠い。思ったよりも人間の体が脆い。だいぶ弱体化させられている。
「そういや外に出るなら服は着てないとな。魔力で纏ってちゃんとした服が用意できるまで我慢しよう」
黒と白が混じったスニーカー、黒いスラックス、黒いTシャツ、黒いロングコートを即興で作る。基本的に黒いのは彼の魔力が黒いからだ。スニーカーに少し白色を追加できたのは聖龍の魔力を少し借りたからだ。
久しぶりの光。さてこれからどこに向かおうか。とりあえず生きている人が行きたい。
そう思って全神経を索敵に集中させると
「誰か…助けて…」
助けを求める声が聞こえた。
設定とかかなりガバガバなので不自然な点があれば言って欲しいです。(その場で考えていますので…)
そのほかこういう描写を追加してほしい。もっと風景や心情について知りたいなどあれば言ってください。頑張って追加しようと思います。