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天才と武闘大会 六日目・準決勝6


すみません。一話飛ばしていました。本当に申し訳ないです……。

この話は、昨日の19時に投稿していた分と全く一緒となります。

飛ばしていた分はすでに投稿してあるので、もしよろしければ読んでいただけると幸いです。。


連続投稿。次は一時間後です。



 不意に、アサシンが消える。


 遮蔽物のないこの場で、姿を消せるなど。

 思ず焦った。


『アサシンさんの姿が見えなくなりましたね。……次、強烈な一撃が来ることは間違いないでしょう』


 ガーウィンも必殺の一撃に備えて、身に纏う魔力を厚くした。全神経に集中しているのが分かる。


 それは唐突に訪れた。


「《影斬》」


 死角のないフィールドであるというのに、彼はそこにいて当然であったかのように現る。

 そのまま、ガーウィンに一太刀浴びせた。


「ぐっ……」


 血が吹き出す。

 パックリと割れた首筋は骨まで見えて、痛そうだなんて言葉では済まなかった。


 膝をつく。傷口を抑えるガーウィンは、しかし、未だ目に闘志を宿らせていた。


 殺す勢いで襲ったため、息があったことに驚いたようだ。

 彼を不思議そうに見下ろすアサシン。


 とどめも刺さずに、ただ眺めた。


『魔力が、傷口へ集まっておりますね』


 ギルドマスターの言葉通り、ガーウィンの身を守っていたそれらが、首筋に吸収されていく。

 纏うものがなくなった時には、傷は塞がっていた。


『ほう。今まで剣聖ガーウィンさんを傷つける者がいなかったからでしょう。このような能力もあるとは、知りませんでした』


 ダルそうに立ち上がるガーウィン。

 だが、口元は笑みで歪んでいる。犬歯が見えた。


「いいなぁ。これぞ、死闘だなぁ!! 《衝刃斬》っ」


 幾分遅くなった剣の速度。

 そこから衝撃波が発せられた。


 普通であれば、それでも十分な脅威なのだろう。

 けれど、アサシンはいとも容易く、それをナイフで切断。


 形を保てなくなった衝撃波は空中で霧散した。


「まだだっ、もっとだ! 《乱れ斬り》っ」


 アサシンへと駆け寄って、剣を振るう。

 先ほどまで大怪我を負っていたとは思えないほどに重いそれは、残念ながらアサシンにとってはもう軽いものだった。


 遊ぶように避け、気が向いたらナイフで受け流す。

 まるで大人と子どもの遊びみたいだ。


「《なぎ払い》!!」


 それでも彼は攻撃をやめない。


 もう魔力が枯渇寸前なのが分かった。

 同じ魔力を扱う者として知っている。


 魔力が無くなりかけると、猛烈な空腹と、脱力感が襲い、目も霞むのだ。

 それだというのに、ガーウィンは一瞬たりとも無駄にはできないと、スキルを使う。


 彼のなぎ払いは、アサシンのナイフで簡単に受け止められた。


「君の攻撃は、軽いネ。でも、その生への執着は嫌いじゃないヨ」


 ゾワリと、毛が逆立つ。

 私に向けられたわけでもないのに、命の危機を感じた。



 ――ヤバイ、逃げなきゃ。逃げれなければ……戦わなきゃ。



 本能が訴える。

 そして、それは瞬きほどの時間だった。


 美麗な顔が、喜色で彩られる。




「死ネ」




 一撃。


 たった一撃で、ガーウィンの首が吹っ飛び、血の噴水と姿を変えた。

 夕日のせいで、より赤く見える。


 赤と黒のコントラスト。

 それが一層、アサシンを恐ろしいものへと変えさせた。


『っ、勝者はアサシンさんです!! ――回復師は、ガーウィンさんの回復を急いでくださいっ! セスタっ、いつまで呆けているのですか。給料分の仕事はなさい』


 歓声よりも絶叫。

 解説室も動揺したようで騒がしい。


 大会独特の雰囲気のおかげで融和されていたアサシンの威圧に、皆がようやく気付いたのだ。


 我先にと逃げ出す観客。

 泣き出す女、子どもたち。


 武勇に優れる者は皆、彼に武器を向けた。


 アサシンはガーウィンから距離を取る。


 助けられ心配されるガーウィンと、一人ポツンとたたずむアサシン。

 それはまるで彼の人生を現しているかのようで。


 赤い瞳が悲しげに揺れる。



 胸が苦しい。……威圧が苦しい。



 赤い瞳と目があった。



 ――私が表舞台へと引きずり込んだのに。優しい彼は、ただ付き合ってくれただけなのに。



 無意識のうちに手にしていた(武器)が、私の弱い心を現していた。


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