男3人馬車の旅
魔法の国、フレキシア
国は6つの領と城下町、北東に広がる広大な森で構成されている。
その広大な森の中にセレン魔法学園がある。
そこでは魔力のあるものが身分を問わず勉学に勤しんでいる。
と言う説明をされたのがついさっき。
俺を乗せた馬車はカタコトと音を立てながら割りと舗装されているらしい道を進んでいく。
馬車の中には俺以外に二人乗っている。
金色の癖の無い短い髪とアメシストの瞳、赤を基調とした衣服に身を包み、ステッキを手にしている男
たしかリヒト・テーラードとか名乗った男。
もう一人は白を基調とした衣服にフードの付いたこちらも白いマントを被り、そこからこぼれ落ちる短いくるくるとウェーブしている茶色の髪と翡翠色の瞳。
こっちはカムイ・アヴォルトとか名乗ったっけ?
が座っている。
「リュウセイくんだっけ?」
一通りの説明を受けてしばらくたった頃、白い服の男カムイ・アヴォルトさんが話しかけてきた。
「はい、なんでしょうか?」
「君なんでこっちに呼ばれたとか聞かないの?」
そもそも俺は呼ばれたことすら知らなかった。
よく読む異世界に行く主人公達みたいな力がないと思って居たから。
「なんで僕を呼んだんですか?
他の誰かじゃ駄目だったんですか?」
理由があるなら是非とも知りたい
「なんでこの子呼んだの?リヒト」
「カムイ・アヴォルトさんは知らないんですか!?」
隣に座るリヒト・テーラードは身を乗り出した俺にぎょっとしたような顔をしたあとボソッと
「俺も知らん」
と溢した。
「それと、コイツをフルネームで呼んでやる必要はない、俺も名前で構わん」
とカムイさんを親指で指をさした。
コイツはないよーリヒトー
と泣き付くカムイさんを無視してリヒトさんは続けた。
「そもそも、君を召喚したのは俺でもカムイでもない
俺たちはただ陛下から召喚されたお前を探しだして学園まで護衛するよう言われたd「あ、そうだ忘れてた」
ポンとカムイさんが手を叩きリヒトさんの話を遮った。
「おい、話を遮るな」
言いながらリヒトさんが軽くカムイさんを睨む。しかしそんな睨みもどこ吹く風と流しつつ、カムイさん布にくるまれた棒のようなものをどこからかとり出した。
「?」
布を取ると細身の刀が姿を表し、光を纏いながら宙に浮いた。
「汝誠にこれを手にするに相応しいものか」
語りかけた声はさっきまでのふざけたところが全くなくて冷気すら感じるほどに冷たい。
冷たいのは本当は声ではないかもしれない。
刹那
刀が消えた
いや、俺の胸に何かが刺さっているように見える。
これはなんだろう・・・?
それを最後に視界と意識が暗転した。