悪魔VS騎士編(9)
『仰せの通りに。』
その日、光治は絶望していた。
部会に誰も来ない。メールを送っても返事がこない。拓也、光明、お前らまでもが…。明、舞、広梳、光明、拓也、どうか無事でいてくれ。
今日、またこの前と同じ時間にクロウに会いに行くことに決めた。
明、舞、広梳、拓也は場所を変えられ、同じ場所に入れられた。
その夜、
光治が学校に行くと、やはり以前と同じく、黒いモヤモヤが校庭の真ん中にいた。 いきなり殴りかかろうとした光治を制止させたのは意外なクロウの一言だった。
『悪かった。』
『はっ?謝らなくていいからよ、仲間を返せよ!無事なんだろうな!!あと一発いや、死ぬまで殴らせろ!!!』
『聞いて欲しい。』
と、言うと、クロウはフードをとった。同時にカラスが散っていく。中学生くらいのどこにでもいそうな男の子だった。
クロウは話し始めた。
自分の名前が秀だということ、あの時は自分が光治の仲間を捕らえたと言っていたが、実際は別の仲間であること。
『仲間なんだろ?じゃあ、お前も共犯じゃねーか。』
『もう少し、聞いてくれ。』
花月に仲間達の場所を教え、助けるように仕向けたこと。だが、自分の裏切りがばれ、どうやら、場所を変えられたこと。
自分には双子の姉がおり、そいつが今回の主犯だということ。花月に帰ってきたら、このことを話して欲しいとのこと。それと、
『裏切られたと知ってなお、私を利用したいらしい。明日、夜七時に○○防波堤にこい、だ、そうだ。仲間の命が欲しかったら、お前一人で、とのことだ。』
『ひとついいか、どうして裏切った。』
『お前の仲間には恨みはないからだ。』
『…俺にはあるのか?』
『わからないか、よーく思い出せ。我ら姉弟はお前に…。』
そういうと、クロウは闇に溶け込んでいった。
『待て、一発殴らせろー。』
翌日、部会に光明がきた。
『ごめん、光治君。勝手な行動とって。クロウに騙されて…。』
『いいんだ。それより…』
光治は昨日、クロウが話したことを光明に話した。
『じゃあ、僕も今日、その防波堤に行くよ。』
『ダメだ!』
光明は何度も頼んだが、光治は一貫して聞き入れなかった。
そして、夜、大雨で、天気は荒れに荒れていた。