悪魔VS騎士編(7)
『刃物持ってて、しかもお前を人質にとられた状態で守るもクソもあるか!』(広梳)
ケンカしていた。
その日、明は、クロウの指示を待っていた。鉄格子の小さな窓から外を覗きこむと、ほんのりオレンジ色の光が空を占めている。そして、凶悪な面の人物が二、三人、何かを話している。―ボス達以外にもいる!?、やはり、クロウって奴が言ってたのは本当なのか。脱獄囚50人がここを見張っている、というのは。―
明は深い溜息をついた。
―クロウという奴は信頼できるだろうか?―
そんなことを思い、学校での事を思いだした。
部会でのこと、部室にはまだ明と光治しか来ていない。
『光治君、もし僕が突然いなくなったら、どうする?』
光治はやっていた宿題から目を離すと、間の抜けた声で、
『は?』
と返す。明はバツの悪そうな顔で
『だ〜か〜ら、僕がいなくなったら。』
『どうした?突然?』
『いや、僕がいなくなってもこの部は…、光治君達だけでもたぷ友好会を続けてくれるのかな?と、思って。』
『それは…ん?』
部室のドアの外側から何か聞こえる。
『バカッ、開けるな』
『ちょ、待っ…』
『うわぁぁぁ。』
ドアから光明が入って来た。
と、思ったら、舞、広梳、拓也が三者三様の有様を見せていた。ドアが開いて三人とも前にのめり込んでいったのは同じ、そこから、一番前にいた広梳が倒れる寸前に両手をつき、腕立て伏せのような姿勢になり、次に後ろにいた舞は何もできずに倒れ、広梳が潰れ、最後に後ろにいた拓也は右足に重心を置き、なんとか倒れずにすんだ。…が、そこに通りかかった芦来河が舞の上に乗る事で広梳は撃沈した。
ピラミッドの一番下から苦情が来る。
『何しやがる!』
『いや、なんか見てて面白そうだったからまぜてほしいなと思ってね。』
『面白くないっ!』
今度はテノールとソプラノが合わさった苦情がきた。芦来河は足と手を組むと、ニッコリ笑い、口を開いた。
『さてと、で、何の話だい?』
芦来河以外の全員がツッコンだ。
『帰れっ!!』
そして芦来河は帰ってった。
明が疲れた顔で聞く。
『で、何してたの?』
舞の話によると、舞と広梳と拓也が盗み聞きしていたところに、光明が来て、ドアを開けた。三人とも扉に寄りかかっていたので、倒れた、とのことらしい。なお、光明によると何かの遊びだと思ってたようだ。