悪魔VS騎士編(3)
『クロウ?』(光治)
『知らないの?カラスをまとった?奴でしょ。みんな噂してるよ、気味悪いって。何もして来ないらしいけど、カラスを手なづけているなんて、いるだけで気味悪いよね。』
そして、閉門30分前に拓也と光治は集合した。辺りももう暗く、学校に人もほとんどいない。
『どうだった?』(拓也)
『いや、クロウと呼ばれている変質者としか。』(光治)
拓也は明らかに嫌そうな顔をした。
『それだけか?』
拓也によると、夜の12時頃に奴はカラスに餌をやっているらしい。
そして最後に拓也は苦笑しながらもこう言い付け加えた。
『あくまで噂だけどな。』(拓也)
『ああ。だが、それでも試してみる価値はある。つーか、それしかもう頼る術がない。』(光治)
『ああ。その通りだ。』(拓也)
学校で光治達と別れてから、舞、広梳、光明は明の家に向かっていた。
『でも明君どうしたんだろう?』(舞)
『だ〜か〜ら〜、風邪だって。』(広梳)
『でも、光治君によると、裁薔君、今まで無遅刻、無欠席だって言ってたよ?風邪の日も無理して来てたって。』(光明)
『う〜ん、わからん!』(広梳)
…そして、明の家に着いた。
明の家は決して、学校から近くはなく、電車で20分の後、歩いて40分ちょっと、チャリで20分という距離だ。駅にあるチャリを使うわけにもいかず、(広梳はパクろうとしたが、光明が止めた。)徒歩で行ったので、もう、辺りは暗くなってきている。家の周りは昔、田だったのかと、思わせられるような果樹畑が並んでいた。
明の家に、明はいなかった。母親は酷く困惑しており、まさか、息子が家出したなんて考えたくもない。と言っていた。
結局、明は?と三人で、悩んでいたが、とりあえず、学校に帰って報告することにした。…そして。
『僕はトイレ借りてから行くよ。先、行ってて。』(光明)
舞と広梳は了解し、先に帰ることにした。
その後、光明は駅まで走って行ったが、舞と広梳には会わなかった。学校近くの駅で降りると、もうすでに真っ暗だった。暫く学校に向かって進むと、角を曲がった先に、カラスをまとった、といえるような感じの何かが居た。そして、それはこちらに向かって進んで来る。