Mischief Of Destiny〜青年(10)
そんな時乃の言葉を全て聞いてから、花月ははじめて口を開く。近所にも響くのではないかという程の大声で。
―お前は逃げてるだけだー!!!―
時乃は驚いた。こちらが怒っていたはずなのに、逆にキレられていることに対して。そして初めて花月に畏怖の念を覚えた。…それ程の怒り。そして再び花月の口が開く。
―始まり、終わり、
始まり、終わる。
この永遠の動作の中で
人は何かを得、何かを失う。
失うものの方が大きいということもあるかもしれない。
だが、失い続けるなんて決してない。
お前は又失うことを恐れているだけだ。始まりの地点にさえたっていない。いや、たとうとしていない。
死にたいだぁー?本当に死にたいのならお前の言うとうり死ねばいい。なぜ死なねぇ?それはなぁー、俺様が教えてやる。自然がどーのこーのじゃねぇ!お前には心配してくれる友人が、そして家族がいるじゃねえか。そいつらがお前をギリギリのところでひっぱってんだよ。
勘違いするな?お前は自分の力で生きているんじゃねえ!!生かしてもらってるんだ!恥ずかしいと思え。
そしてなあ、
失うことを怖れるな。
失うことを怖れていれば、いずれ、自分の本当に大切なものを失う。
大事なものを得た時の喜びを知れ。
まずは変わる事だ。先を読めないのは不安でつまらないか?自分の言う通りにならないのはむかつくか?そうじゃない、未来は読めない、だからこそ人生は面白いんだ。その人生を思いどうりにするのがな。それにはいろんな要素が必要だが…。まずは変わることだ。そうやって人は自分を、人を、歴史を、変えていくんだ。
時乃ぉ、お前もそうすればいい。―
『ちぇっ、言いたいことばかり言って。』
―お前と同じだろ―
時乃は電気を消してぽつりと言った。
『学校、行ってみるかな。』
花月は、その一言で…。
沈黙が訪れる。それは永遠の静けさではなく、次の光へと向かう、準備の期間。
そして、時は再び動き出す。