Mischief Of Destiny〜青年(8)
中は予想以上に散らかっていた。足場がないほどに、雑誌や、漫画、プリントやお菓子の袋、などがあり普段どんなに怠惰な生活をしているか、予想できる。机にも、あるのは学生にあるはずの教科書等ではなく、枕が一つあるだけだ。唯一の足場といえば(足場といえるかわからないが)ベットだけだろう。
僕は入ってすぐ絶句していたが、健太は反応していた。
『おまっ、これはねぇだろう。いつも何してんだよ。』
花月はとりあえず座るように促す。
『まあ、適当に座れ。』
『いや、座るとこねぇし。』
僕は大の部屋に来て発した第一声がこれだった。
本当はもっとシリアスでダークな面持ちで訪れるつもりだったのだが。
一通り掃除が済むと、二人は床に座り、花月はベッドに座った。
―さて、何から話すべきか。―
花月はしばらく悩んでいた。
その間、二人はこそこそ話している。
『おい、昭吾、この間は何だ。』
『知るわけないだろ。僕が聞きたいぐらいだ。…余程言いづらいことなんだろうか。』
そして花月の口が開く。
『実は…。』
二人とも息をのむ。
『俺様は…宇宙人なんだ。』(花月)
しばらく沈黙が続き、そして、
『はぁ?』(昭吾)
『あっはっはっはっは。それ、ウケるよ、大。しかもマジ顔で。プッ、ククク。』(健太)
花月は椅子を座り直して真剣な顔つきでこう言う。
『お前ら、この俺様に違和感は感じないか?時乃と比べて。』
『それは…。』(昭吾)
『感じるよ、でも記憶がなくなったからだろ?』(健太)
花月は軽く、溜め息をついた。
『じゃあ、本人と変わってやる。』(花月)
そう言うと、花月は目をつむった。
その瞬間、そこにいる人がさっきいた生物とは別物だと健太と昭吾はすぐにわかった。
なつかしい感じがする。
昭吾は泣いていた。そして
『大、大。』
といいながらも体を揺すった。そんな昭吾に健太はまず、ハンカチを渡す。
『まず、ふけよ。あいつが起きて、俺達がいるだけで驚くだろうに涙なんて流してたらさらにびっくりするだろ。』
昭吾はハンカチを受けとった。
…そして、大の目が、今度は確実に大の目が開いた。本人はあくびをして、きょとん、としていた。
『ここは…家、だよな。何で健太と昭吾がここに?』(時乃)