Mischief Of Destiny〜青年(7)
花月は思った。
―仲のいいこいつらを利用すれば、奴も学校に来るようになるんじゃねえか―
花月は名案だ、と思い、呼びかける。
『おい、お前ら!』
健太と昭吾は先生に怒られたかのようにビクッとする。そして同時に、
『何?』
『何だよ。』
と言った。
『明日、休みだよな。』
又しても同時に言う。
『そうだが?』
『だから、何だよ。』
花月は笑みを浮かべると、嬉しそうにこう言った。
『明日、俺様に付き合え。』
健太と昭吾は双方とも顔を見合わせた。
学校も終わり、帰宅途中。『明日の午前、9時、俺様ん家に来い』か。どういう了見だろうな?
昭吾は疑問に思う。
―確かに一年から二年の後半までは一緒に行動していたが、それ以降は全く学校に来なくなり、連絡もとらなくなったというのに、…しかも大から誘うなんて一体?―
健太の方は案外平然としている。
『友達やめましょうってことかもよ。』
昭吾は健太の方を向いて真剣な顔付きで言う。
『馬鹿なっ!!』
『まあ、俺達が気にしたって仕方ねぇって。』
昭吾はがっかりした様子で、
『そうだな。』
と言った。
そして、当日。
時乃家のチャイムが鳴る。玄関前には健太と昭吾がいて、健太は玄関前でインターホンに向かって喋っている。
『すみませーん、大、いますか〜?』
パタパタと走ってくる音が聞こえる。昔と同じく大のお母さんがスリッパはきながら、こっちに向かっている音だろうと、二人は思う。
やがて、扉が開く。
大の母親は驚いた。
『健ちゃん?昭ちゃん?』
昭吾は丁寧にお辞儀する。
『お久しぶりです、おばさん。』
健太も挨拶をする。
『どーも。』
大の母親はまだ驚いている。
おばさんにとって、僕ら(僕と健太)が唐突に訪れたことはそうとうな衝撃だったようだ。嬉しい方でか、悲しい方でかまではわからないが。
『どうしたの?』
昭吾は事情を説明した。
『大が!?わかったわ、どうぞ、いらっしゃい。』
そう言うと、2階の大の部屋まで案内してくれた。
そして、
『楽しんでいってね。』
と言い、ウインクして1階に降りていった。どうやら嬉しい方だったらしい。
昭吾は少し考え、その後、ドアを軽くノックする。すると、中から
『入れ。』
と聞こえたので、二人とも中に入った。