Mischief Of Destiny〜青年(6)
『幻聴のようなことを僕に言ってる人もいるってこと。』
時乃は最後にぽつりと花月が知りたがっていた答を述べた。
花月は思った。
―つまり、幻聴と現実の両方で、似たような悪口が聞こえるっつーことか?なーるほど。―
そして、その日時乃は家に帰って寝た。
時乃が寝ている間、花月は思い出にふけっていた。
―あれからもう150年かぁ。俺様を唯一認めさせた男、奴はあっちで元気にしてっかな。こいつ(時乃)は世話するにめんどくさい奴だが、奴の遺言があるからな。仕方ねぇか。たぷ友好会、あん時が1番楽しめたな。―
花月の脳裏に昔の記憶が浮かびあがる。
パソコンのようなものから定期的にピッ、ピッ、と音がなる。画面には、緑色の線が波うっている。ベッドには白髪のお爺さんが寝ていた。その隣には白衣の中年らしき男性が一人とこれまた白衣の女性が一人が立っている。
―花月、いるか、花月―
―なんだ?―
―最期のお願いだ―
―俺様は神でも悪魔でもねぇぞ―
―簡単なことだ。お前にもたぷ友好会の意志をついで欲しい、それすなわち―
―正義の意志を貫くこと…か―
―そうだ、リーダーは正義感の塊のような奴だった―
―ありゃあ、ただの馬鹿だ―
―フフッ、私も、もうお迎えが来たようだ。結局、彼らの中で私が1番長生きしてしまったな。―
―ちょっと待て、俺様はまだ約束してねぇ―
―じゃあな、花月―
いつの間にか、パソコンのようなものの画面の波線は直線に、音もピー、に変わっていた。
―俺様はまだ、約束してねぇからな!!―
花月の念話に対する返答はなかった。
花月は思う。
―約束はしてねぇが、奴の遺言だ。守らないわけにはいかねぇだろ。正義の意志…か、とどのつまり、困ってる奴を助けろってことなんだよな。時乃を助けるのはひと骨折れそうだが、いっちょう、やってみっか―
そして次の日、
いつもどうり、時乃は起きない。
花月は今日も学校に行こうとする。
学校の教室。
花月は椅子に座って腕を組み、足を机の上に出すという格好で
『さて、学校に来たのはいいが、どうやって奴を良くさせるか…』
悩んでいた。
そこに、健太と昭吾がやってくる。
『おっす。記憶を無くした少年。』
健太はまるで、何事もなかったかのように普通に接してきた。
昭吾が怒る。
『健太、それは酷いだろっ。』
『ごめん、ごめん、つい。』