Mischief Of Destiny〜青年(5)
夜、と言っても深夜、時乃は起きた。そして花月に呼び掛ける。
―花月、起きてるかい?―
花月は機嫌悪そうに返事をする。
―ああ。―
『ここじゃあ、なんだから、近くの山に行こうか。』
―家が出てすぐ斜面なのは山だからか。―
花月は今気付いた。
そして、山頂。そこは意外にすぐ着いた。10分くらいで。
青年は草の上にねっころがっている。
『ここは僕のお気に入りの場所なんだ。街がよく見える。今は街の電気もついてないけどね。春になると、この大きな桜の木がよく映える。夏になるとその木の上で寝れるのがいいね。読書もできるしさ。秋になると、まわりの木々が色んなきのみを落とすんだ。冬はね、寒いけど、雪がいいね。特にこのオレンジ色の光の街灯が照らすところだけ、幻想的な感じになるんだぁ〜。』
時乃は無邪気な子供のように楽しそうに話す。
―おいおい、時乃ぉ、俺様はそんな話を聞きにここまで付き合ったわけじゃねーぞ。―
時乃は上半身を起こし、体育座りになると、
『わかってる。』
と言った。
そして、話す。
―孤独、だと?―
『ああ、そうさ。孤独。』
―わからねぇな、じゃあ、昭吾とか健太は一体なんなんだ?―
時乃はきょとんとする。
『何故お前がそれを知って…あっ!もしかして、又、勝手に僕の体を!!』
―ああ、使わせてもらった…が収穫なしだ。お前が学校に行かないわけって単に幻聴が聞こえるだけってことなのか?―
時乃は言う。はっきりと。しかし、暗く、重い声で。
『ちがう。』
そして、少し間をおいて、花月に尋ねる。
『先生とか(クラスの)みんなはなんかお前に言わなかったか?』
―特に何も。―
『言えなかったのかもしれないな。』
―だから、はっきり言え!俺様に隠し事をするな!―
青年は星を見る。
『綺麗だよねぇ。』
―また、妄想モードか。―
花月は思った。
『僕がこんなにも辛いのに、死なないわけ、わかる?』
時乃の目が輝いて見えた。
―知るか、死にてぇなら勝手にそうしろっ。俺様も他の奴のとこへといける。―
『それはね、自然が、地球が好きだからだよ。人間は…嫌いだ。地球の自然を…人工的なものに変えていく。そして、壊していく。』
―テメェも人間じゃねーのかよ―
花月は呆れつ聞く。
冷たい風が通り過ぎた。
『寒いね。そろそろ帰ろうか。』
―たくっ、どいつもこいつも。―
花月はああ言っておりますが、私は楽しいことをあじわずに死ぬのは損だと考える方ですので。