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Mischief Of Destiny〜青年(3)

仕事に行ったのかもな、へっ好都合だ、そう思いながら外に出る。

地図を見ながら学校に向かおうとする…が遠い。外に出ると、そこはゆるやかな道路の斜面だった。右を向くと、上り、左を向くと、下りの。

学校は東、つまり下りの方にある。

道路に沿って行くと、やがて、線路が見えた。

生徒手帳に書かれている(時乃が書いたであろう)『学校へのみちのり』には、電車で15分、と書かれていた。花月は

―(電車に乗るのが)面倒だな。―

と思い、線路沿いを走って行った。

やがて、とある駅に着く。学校はその駅のすぐそばにあった。

入口に入ると、教員が廊下を歩いていて、自然と目が会った。

教員はビクッ、としていたが、(顔は時乃と同じだが、花月がのりうつると邪な感じになる為)

やがて、

『大、大なのか?』

と言い、顔が(ほころ)びた。

花月は

―奴(時乃)の知ってる教員か―

と思い、乱暴に、

『ああ、そうだ。』

と言う。自分より下等な者に花月は敬語は使わない。

『よく、…よく学校に来てくれた。病気は、治ったのか?』

『まだだ。ただ、来たくなったから来ただけだ。』

花月は本音を言ったのだが、教員は別の意味でとらえる。

『そうか、行きたくなったか。良くなってきた証拠だな。』

教員の顔を見ると、本当に嬉しそうだ。

『病気の辛さから、少しグレてしまったようだが(言葉使いなどが)、大には変わりない、教室にお入り。』

花月は

―いろいろ聞きてぇんだが…。(いぶか)しまれるだろうな。―

と思い、機転をきかせた。

『実は、記憶喪失なんだよ。』

『何!!……どうりで以前と違う…。わかった、教室に案内しよう。』

そして、教室前まで案内してもらい、中に入る。

…授業中だったが。

中の教員も始め、花月を見て退いたが、やがて驚いた。

『大!』

花月を連れて来た教員はその教員に事情を説明した。

『まさか…そんな事が。』

やがて、花月を連れて来た教員は教室を出て行った。そして、残った教員が、

『私は村野(むらの)だ。君の担任だった。』

担任は悲しそうな顔で言う。

そして、(恐らく)時乃のクラスメイトであろう者達に向かって、村野は悲しそうに語り始めた。

『大が来てくれた、これは大変喜ばしいことだが、みんなには悲しいお知らせをしなくちゃいけない。大は…記憶を無くしたらしい。』(村野)

教室が、静まり返った。





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