Mischief Of Destiny〜青年(2)
―俺様は幻聴なんかじゃねぇ。なんなら今からお前の脳裏に俺様を視覚化してやる―
すると、人間の形が頭に浮かんで来た。
時乃は驚いて、しかし冷静に考える。
…なんと形容したらいいかわからない。ちょい悪でキザっぽい。これが1番合ってると思う。
そして、念じる。
―お前は幻聴じゃないのか?―
―ああ。―
時乃の顔が、少し明るくなる。
―じゃあ、今までのもお前が?―
―いや。―
その瞬間、どん底に落とされたような暗い顔になった。
そして、
―やっぱりか…。今更そうだとしても僕は疑うけどね。―
花月の時乃に対する第一印象は変な奴、だった。
月曜日だというのに、9時になっても時乃は起きない。花月はいらついていた。
―ご主人様よぉ、今日も学校にいかねぇのか?―
時乃は眠たそうにしてたが、やがて上半身だけむっくり起きあがると、
『僕は学校へは行かない。』
とだけ言って、死んだように又ばったりと倒れた。
それから花月がいくら呼び掛けても応答しなかった。やがて、母親が来る。さっき時乃は自室の扉に鍵をかけたので、母親は開こうとしたが開かない。仕方なくそこの前で言う。
『大、今日も休むの?』
返事はなかった。
母親は悲しそうな声で
『そう。』
と言うと、階段を降りて行った。
―お前は母親を悲しませるのか?―(花月)
青年は反応したどころか、即答した。
『ちがうっ!!母さんは俺を苦しめたいんだ。』
花月は不思議に思う。
―どういうことだ?―
時乃は顔を少し上げると、
『夜になったら話す。』
と言った。
花月は呆れた。
―やれやれ、夜まで寝るつもりか―
呆れて溜息をついた。
花月はこいつ(時乃)が学校嫌いなわけを調べようと、寝ている間、体をのっとることに決めた。
声が聞こえるから休むってのはどうにもおかしい。
花月は時乃の体をのっとって、まず、ベッドの下にあった鞄をさぐる。すると、生徒手帳と書かれた手帳が見つかった。
『何々、〇〇高等学校、三年A組、普通科〇〇コースか。』(花月)
花月は驚いた。
―三年!?なおさらだ。何故行かねぇ。―
『生徒手帳に学校の地図があるな。学校に行ってみっか。』(花月)
花月は前の主人が学校に行く時、制服なるものを来て行っていたのを覚えていた。
―窮屈だな。―
そう思いながら着替えた。
…そして、家に母親はいなかった。




