光明の活躍その3
『だから、手伝ってって。じゃないと、あんたのあらゆる悪評をばらまくわよ。』(舞)
『だから、嫌だって言っただろう。だいたい、いつまでもそのネタで俺を操れると思うなよ。』(広梳)
どちらも息が荒い。
光明はただ、おどおどしている。
『おい、おい、どうしたんだよ。』(光治)
二人とも凄い形相で光治を睨む。
『コイツが!!!(広梳)
広梳 が!!!』(舞)
それ以降は言葉にならない。…というより双方とも言葉にならない言葉を発する。
明は、言う。
『ちょうどよかった、二人とも顔を見たくないんだよね、僕も光治君と顔を合わせたくないんだ。こんな合わない同士が部活をやってもしょうがない。たぷ友好会、解散…しようか。』(明)
『ハッ、それはいいな、せいせいするよ。』(広梳)
『こっちのセリフよ。』(舞)
二人は部屋を出て行った。
『ちょっ、待てよ、お前ら…』(光治)
『バイバイ、光治君。』(明)
明も部屋を出て行く。
『くっ、何だよ、みんな!じゃあ、俺もやめるよ!』(光治)
そうして、残ったのは光明一人。
膝がガクガク震えている。目から涙がこぼれる。
『なんで、昨日まで、あんなに、楽しく…。』(光明)
頭の中で声がする。
―どーするんだ?ご主人様よぉ?―(花月)
『どーするったって…。』(光明)
―主人も、やめたいですか?―(刹那)
『僕は、やめたくないっ!!』(光明)
―じゃあ、どうするのです?―(刹那)
―へっ、決まってらぁ―(花月)
『みんなを、連れ戻す。』
―それでこそ、俺様が見込んだ男よぉ。お前の人望がどれほどのものか、見物だな。―(花月)
『まず、理由を聞かなくちゃ。』(光明)
光明は走る。出て行ったみんなの元へと。
光明が部室を出た後、部室の窓にはポツンと明が一人で寂しそうに帰宅する様子が写っていた。部室には、いつの間に撮ったのか、部員になった記念として、その日の日付とその当時の写真が飾ってある。その中の一枚(光治と明が肩を組んで笑ってブイサインしている写真)を囲っているガラスケースにいきなりひびが入る。まるで、部の崩壊を表すように。
残った部室にはいつまでも蝉の鳴き声が響いていた。
光明は学校を出て、ようやく一人に追い付いた。
『光治君!!』(光明)
光治は振り返る。