番外〜体育祭編
ドンッ、パンッ、パンッ。体育祭決行、という合図がなる。これだけは小学校のころから変わらない。
光治と明は学校に向かって歩いていた。
『よっしゃー、今日こそ、奴に勝つにふさわしい体育祭日和だぜ!』(光治)
『あの拓也君にかい?』(明)
『おうよ、今日こそあの野郎をケッチョン、ケッチョンのグッチャ、グッチャにしてやるぜ。』(光治)
『…よく意味がわからないけど、光治君、君、悪役になってるよ。』(明)
そうしているうちに学校に着く。そこに待っていた、舞が来る。
『おっそーい。あんた達、遅れた罰として今日は存分に使わせてもらうからね。』(舞)
『…、僕は光治君につきあっただけなのに。』(明)
『わかったわ。じゃあ、光治一人を…』(舞)
『おわっ、明、てめー、抜け駆けする気か。』(光治)
『問答無用。体育祭実行委員として、あんたを雑用に任命するわ。』
まわりのクラスメイトがクスクス笑っている。
『そりゃねーって。』(光治)
舞は忙しそうに、どこかに行った。
明は舞が行くのを確認してから憎々しくこう言った。
『こういうのは早いもの勝ちなのだよ、光治君。』(明)
運動場はすでに人が集まっており、ガヤガヤしていた。そこに校長のあいさつが始まる。
『え〜、今日という日は快晴ということもあり……』
どうやら、長びきそうだ。次に選手宣誓、
『僕たち、
私たち は、〜〜するこ
とを誓います。』
光治は、
―あ〜、やっぱ、運動会と変わんねぇじゃねーか―
とうんざりしている。
…そして、体育祭が開催された。
『俺達はどれが勝てそうなんだ?』(広梳)
『え〜と、サッカーと、バスケ辺りね。』(舞)
『確か、個人はそのどっちかにしかでられないんだよね。』(明)
『じゃあ、俺はサッカーだな。サッカーなら得意だし、広梳とも組めるしな。なっ。』(光治)
『おうっ。』(広梳)
『じゃ、私達が戦力をそそぐのは、サッカーに決まりね。分散してたら勝てないだろうから。』(舞)
『僕は、…観戦してようかな。』(明)
『何言ってんの、あんたもでるっ!』(舞)
ドンッ。明は背中を肘うちされた。
『ぐえっ。』(明)
そして体育祭が始まった。まずはバトミントン2―3で負ける。
テニス、健闘するが、負ける。バスケ、10対46という大差でやはり、負ける。それ以降も負け続けた。
そして、最後の競技が始まる。
『あんたたちー、これで勝てなきゃいいとこないわよー。』(舞)
遠くから応援する舞は痛い所を的確についてくる。
選手達は光治によって、指揮をあげられる。
『勝つぞー!』(光治)
『お〜。』(選手達)
『なってねー、もう一回。』(光治)
『おーー!!』(選手達)
『はぁ〜。』
舞は呆れていた。
『何したの?』
舞は手に持っていた選手起用表を明に見せる。
15ジョーカー俺
16天才広梳
23エロ代官わたる
51ハゲ丸本
19ゲロ光秀
4デス秋山
44デス秋山2(秋山兄弟の弟)
34ポーカーフェイス秋場
99ポーン荒木
76マッドピカソ阿部
28オタッキー明
明はしばらく、出る声もない。そして、ようやく、
『…、これ、もしかして……。』(明)
『そ、あいつ(光治)が書いたの。』(舞)
舞はバツの悪そうに額に手を当てている。
ピー。選手集合の合図がなる。
『頑張ってね。』(舞)
『…うん。そっちもね。』(明)
舞は力なさそうに応える。
『ええ、……頑張るわ。』(舞)
外野席は大もりあがりである。
『光治、負けんなよー。』
『キャー、 優様〜。』
『かっこいい〜。』
『塁ちゃ〜ん。』
『マッドピカソ〜。』
『ポーン〜。』
光治は(味方以外)その中で聞き覚えのある単語が二つあった。
―優様?塁ちゃん?―
『あっ、何で芦来河兄妹がいるんだよ。』(光治)
芦来河がやってきた。
『なんだ、光治君、知らないのかい?今〔サッカー〕大会は男女混合なんだよ。』(芦来河)
『何〜、そうだったのか…。』(光治)
『まあ、不利な女子を入れるチームは少ないけどね。』(芦来河)
塁もやって来た。
『光治君、お久しぶりです。』(塁)
『あ、ども。』(光治)
『恋とこれ、は別物ですから、正々堂々やりましょう。』(塁)
『ははっ、ああ、もちろん。』(光治)
審判が言い、ホイッスルが鳴る。一回戦、始めっ。ピーー。
最初にボールをとったのは、光治チーム。芦来河いわく、
『これぐらい、ハンデつけなくちゃね。』
だ、そうだ。
光治が走る、走る、走る。広梳は計算する。
明はボールを追いかける。マッドピカソはオウンゴールを決める。
ポーンはキーパーから勝手に攻撃へと転じる。
秋葉はポーカーフェイスでファールをとるっ。
こっちの味方はこんな感じで、相手はというと、
芦来河と塁がタッグを組み、様々な強力なプレイをしていた。
塁が蹴る、そこに芦来河がきて、また、蹴る、そこに塁がきて、またしても、蹴る、そこに芦来河がきて、シュートする。これは芦来河は味方の陣地中でやっている。相手の撹乱の為だ。そして、半分ぐらいのとこまできたら、シュートする。遠いから、外れる、ということもなければ、高速のボールの威力も、おちているようには見えない。ポーンでなかったら、全て入っていただろう。
彼らは二人で、プレイしている、と言ってもよかった。
そして、4対3で、なんとか勝った。
『しゃあああああ、次も勝つぜ。』(光治)
へとへとになった明がくる。
『僕はボールを追いかけまわしただけだったよ。いる意味あんのかな?』(明)
『あるさ、お前は俺達の仲間だ。』(光治)
明は半信半疑である。
広梳もくる。
『お疲れだったな、ナイス計算!次も頼むぜ。』(光治)
『ああ、まかせろ。』(広梳)
そして、選手集合のふえが鳴る。審判が勝者を宣言する。そして、
『礼っ!』
『あざーした。』
『ふふふ、光治君、今度君と相まみえるときは負けないよ。』(芦来河)
『ああ、楽しみにしてるぜっ!』(光治)
塁が寄ってきて、ヒソヒソ声で何か話す。
『今度の、学園祭、一緒にまわりません?』(塁)
『ああ、二日目だな、いいよ。』(光治)
『やった、嬉しい。』(塁)
『俺もだよ。』(光治)
塁は人前でこういうことは隠さないが、兄がいるからだろう。一方兄はこういうことには敏感だ。
『何を話しているんだ?塁!!』(芦来河)
気にしている感が漂っている。
そして、各自、自分の陣地に戻り、第一試合が終わった。
『あんた達、あの、芦来河兄妹相手によくやったわね!』(舞)
『まあな、みんなのおかげだよ。』(光治)
『えっ、光治君にしちゃ、珍しい。』(明)
『何がだよ。』(光治)
『いつものお前なら、俺一人のおかげ、とか言うだろ?』(広梳)
『そーだっけ?』(光治)
そして、二回戦、
『えっ、棄権!?、どーして?』(舞)
舞は伝達係と話している。
『どーしたんだ?』(光治)
光治のクラスもガヤガヤとなる。
『なんか、クラスで頼んだ弁当が、…あたったみたい。』(舞)
『ってことは不戦勝ってことかい?』(ポーン)
『そういうことだよ、ポーン君。』(広梳)
いつのまにかみんな光治がつけたあだ名を使っている。かわいそうなのはゲロ光秀である。一度、やってしまってから、そういわれるようになってしまった。(光治に)
『チェッ、つまんないなあ。』(マッドピカソ)
『大丈夫だよ、阿部君、最後には拓也君と光明君達のチームにあたるはずだから、存分に活躍できると思うよ。』(明)
『ところであと何回勝てば、決勝なのさ。』(ポーカーフェイス)
『そういうこと、普通一回勝ったぐらいで聞く?まあ、いいわ。調べたげる。え……と、二回ね。』(舞)
そして、三回戦、
余裕で勝利。
四回戦、序盤はやや押されぎみだったが、後半、光治の一言をきっかけに挽回、勝利する。
そして、決勝、
『じゃあ、みんな決勝を前に気合いの一言を。まず、俺からか。
みんな、よくやった。まあ、奴と当たるまでは負けられないと思っていたが、まさか、ここまでできるとは思わなかった。ここまできたら、優勝しよう!!』(光治)
『フッ、楽勝さ。』(広梳)
『しばらく、エロ本我慢するっ。このぐらいの決意で頑張るよ』(エロ代官)
『ヅラは買わん、俺のポリシーだ。この、ポリシーを、奴らにぶち当てるっ!!』(ハゲ丸本)
『出るか出ないかのこのあつき衝動をコントロールし、最期に奴らにぶちまけるっ!。』(ゲロ光秀)
『殺すっ!』(デス秋山)
『殺すっ!!』(デス秋山2)
『無表情、それこそが、最強の武器。奴らなんて、チョロイさ。』(ポーカーフェイス)
『大将が勝つと言ってるんだ、絶対勝つに決まってるよ。』(ポーン荒木)
江戸時代劇のようなことをしているのはマッドピカソである。
『あ、勝たなきゃいけねぇ時がある。おいらは全力尽くすまで。』(マッドピカソ阿部)
『勝つよ、僕は戦う!!』(明)
光治は念のため、と、念をさす。
『よし、みんないい意気込みだ。…だが、デス兄弟、相手は殺すなよ。』(光治)
そして光治達は最後の決戦にそなえる。
そして、とうとうその時がやってくる。選手達はすでに互いに向き合って、並んでいる。
外野席は初戦とは比べものにならないくらいの人だかりだ。
ジャッジマンがマイクを持って高らかに宣言する。
『これより、最終試合、〜対〜の試合を始める。』
ワーワー。ピーピー(口笛)。外野席はうるさいぐらいだ。
『礼っ』
『よろしくお願いします。』
光治は拓也に言う。
『今日こそお前に勝つっ。』(光治)
拓也は光治に言う。
『無理だな。万が一にでも(アホに)勝ち目はない。俺達のクラスのチームワークは完璧だからな。』(拓也)
『じゃあ、その10000分の1以下の確率で勝てたら、そうだな、女子の前で、坊主になって、た〜君だよ、えへへ〜、とでも言ってもらおうか。』(光治)
拓也は一言だけ言って、
『アホか。』(拓也)
去って行った。
光治は光明の所に行く。
『頼むから、花月には変わるなよ。』(光治)
光明は微苦笑で、
『うん、努力するよ』(光明)
と言った。
が、光治は内心、
―あいつ堪え性ないからなぁ、劣勢になると…。―
と思い、なるべくそのことを考えないようにした
そして、試合が始まる。
最初はイケそうに思えた。ボール運びがうまくいっていたからだ。そして、ニ点も先制できた。…が、その後から全て変わった。拓也がキーパーになり、花月がでてきた。それだけでお手上げだった。なぜなら、拓也はセンスを持って、ボールを必ずとる。花月は広梳の計算で動く光治に、少しは苦戦するが、やはり、スルーし、ゴールを確実に決める。そして、
ピーー。ホイッスルが鳴り、結局2対15で負けた。
審判が整列をかける。
そして、
『礼っ!』
『あざーした。』
『ハンデニ点じゃ足りなかったか?』(拓也)
奴が残して行ったその一言にむかついた。
光明の所に行くと、
まず、花月が、
『俺様がでるまでもなかったな。』(花月)
―じゃあ、でるなよ―
と思い、次に光明が
『ごめん、光治君、止められなかったよ。』(光明)
と、すまなそうにいうので、抗議はできなかった。
そして、光治のチームは2位ということになった。一応表彰されたので、大健闘した、と言える。
そして、開幕。
『くっそー、勝ちたかったぜ。』(光治)
『まあ、仕方ないよ。チームでは勝ててもあの二人が相手じゃね。それに先制できたといっても一筋縄じゃいかなかった。』(明)
『そうだな、それに焼肉も逃したしな。』(広梳)
広梳は明るく言う。
舞はそこに入ってきて、怒りだす。
『それなのよ、光治、あんたがみんなの指揮をあげる為に言った、”一位になったら、舞がクラス全員に焼肉おごってくれるぞー”って言った嘘、実現しなくちゃならなくなったのよ。』(舞)
『なんで、2位じゃん。』(光治)
『あんたのせいよ。ここまで頑張ってこれたのは、あれのおかげだって(みんな)言うんだから。』(舞)
舞はかんかんである。
『ま、光治君が全額払ってくれるって。』(明)
『え?』(光治)
『そうだな、言った本人がどうにかしないとな。』(広梳)
『え!?』(光治)
『まあ、そういうことなら…。』(舞)
舞の怒りもおさまってくる。
『何故だ〜〜〜。』(光治)
体育祭編・完
今日は出血大サービスでいつもより多めに書きたいと思います。
ちなみに学際編を書くみたいに思わせる記述がありましたが、実際には書きません。
次の話で考えているネタがなくなるので以降はゆっくり目のペースになるかと思いますが、末永く?お付き合いください。
次回は光明が仲間になった、少し後の話です。ライバルとの初めての出会いとは!?
そしてそしてなんとたぷ友好会が…。光明君の活躍をご期待下さい。