表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/73

メモリーズオブ光治(4)

『おい、女。どけっ。』(光治)

光治はその女の子にもガンをつける。

だが、女の子は全身が震えているにもかかわらず、どかない。そして、また

『駄目っ!』

と言った。

雑魚なら、光治にガンをつけられただけでも逃げる。それが、普通の、しかも女の子にここまでされたことに怒りをおぼえる。

『もう一度言う。どけっ、どかないと、お前を殴って、こいつも殴る。』(光治)

光治に目を合わせないようにして、女の子は言う。

『じゃあ、私を殴ってもいいから、この人はもう殴って駄目っ!!』

光治は

―弱ったな。―

と思った。

光治にはこの女の子を殴る理由がないのである。もともとムカつく奴だけを殴ってきたので、この子を、しかも女を殴るわけにはいかなかった。確かにこの女の子にもムカつきはしたが、女、しかも理由のない奴を殴るのは光治のプライドが許さなかった。そして、何より、こんなことは初めてだった。

『アニキをかばうのはわからなくもないが(実際わからない)、俺はこいつをもう俺に歯向かえないぐらいに痛めつけないと、こっちがやられるんだ。』(光治)

女の子はまだ震えている。そして言う。

『この人は、アニキでも家族でもないっ。』

『はあっ?』(光治)

つい、声にでた。

―こいつ、馬鹿なのか?―と思い、聞いてみる。

『じゃあ何でそいつを守るんだよ。』(光治)

前より口調も優しくなる。女の子の方はさっきよりも強い口調で言う。

『やり過ぎだよっ!!この人、可哀相。』

『だから自分が犠牲になってもいいってことか?』(光治)

女の子は強く言う。

『うん!!!』

―なんなんだ、この生物は?理解不能だぜ。これだから人間って奴は。―

光治は”人間”という種族が嫌いだった。自分勝手で何を考えているかわからない、これが光治の人間に対する定義だった

それでもなお、光治は説得?を試みる。

『でも俺はこいつを痛みつけないといけねぇ。でないとこいつはまた、歯向かってくる。』(光治)

『駄目っ!!!』

光治はキレる。

『何がダメなんだっ。こいつをやらなきゃやられるのは俺なんだ、やるか、やられるか、そういう世界なんだよ。』(光治)

『それでも駄目っ。光治君は負けないよ。私、知ってる。光治君は他の誰にもない優しさを持ってる。それさえあれば、人を変えられる。ただ、それを強さ、いや、暴力で隠してるっ。もったいないよ!!』




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ