メモリーズオブ光治(3)
途中で近くの人が光治を見ていた。当たり前だ。光治は制服をきているのだから。光治は視線を感じ、その方向を見る。だが、視線は通じることがなかった。片方がすぐそらしたからである。光治の見るは、ガンをつけると同義語だった。
―チッ。―
光治は苛立っていた。いつもどうり、くだらない毎日に。そして公園に着く。公園に着くと、光治とは異なる学生がたむろしている。その学生の一人が光治にきづく。
『お〜う、こうちゃん、ひっさしぶり〜。』
言葉だけみれば、友達のあいさつにもみえるが、悪意がこもっていた。
そして彼ら三人は立って、光治のまわりをぐるぐるとまわる。
『蝿がっ!』(光治)
『あ〜ら、ごあいさつだねぇ、こ〜うちゃん。』
光治はまず、さっきからリーダーのようなそいつを殴る。そいつは一発で倒れた。その後も光治はそいつだけを殴る、蹴る、殴る、蹴る。もう、そいつは血だらけで、顔も修復不可能なまでにボコボコだった。
光治はそいつ以外は殴らない。むかついたのは、そいつだけだから。
『お前らもこうなるか?』(光治)
だらん、となったそいつを持ち上げて、残りの二人に見せる。
『うっ。』
『うっひゃあ。』
とか言って、残りの二人は逃げる。
―弱いから、つるむんだ。つーか、毎日、毎日、よくまあ、やられにやってくるもんだ。―
実の所、光治が喧嘩をしかけられるのは、ほぼ、毎日と言ってよかった。しかも毎回違う人物が…である。そして光治の名もそこいら一帯にまで広がっていた。悪名として。
残った奴を光治はひたすら殴り続ける。手加減など、しない。いつものように、命のぎりぎりの所まで、痛めつける。こいつの一言、基、いつものうっぷんをはらすように。
その時だった。彼女が現れたのは。
急に光治と殴っている奴の間に体を滑りこませるように入ってきたのは、光治とおんなじ位の歳の女の子だった。…制服ではなかったが。
光治は驚いた。驚いて、奴に叩き込むはずのパンチを女の子に当たる前に止めた。
その女の子は目を閉じている。光治は驚いて物も言えない。
女の子はゆっくりと目を開き、震えた声で、こう言った。
『駄目っ!』
―はっ?―
光治は意味がわからず、しかし、状況把握しようと頭を巡らせる。
―………こいつの兄妹ってトコか?―
と推理する。
―しかし、よくもまあ、体張ってまで…―