デイリーライフ―光明のいない日
『あれ?ここにガルガル君なかったか?』(拓也)
『ああ、あのアイスのこと?あれなら、拓也君の後ろにいる光治君が持ってったよ。』(明)
後ろを振り向くとニンマリ顔をしたあの、アホがいた。
『光治…まさか、お前……。』(拓也)
よく観ると、アホの唇のまわりにガルガル君のチョコがほんの少しだが、ついている。だいたい、部室にガルガル君〔アイス〕を持ってくる奴はいない。俺以外。そして、きわめつけにあのアホヅラッ(怒)(怒)(怒)。
拓也は確信した。
『あのガルガル君は俺に食われる運命だったのさ。』(光治)
その一言で、キレた。
『殺すっ!!!』(拓也)
こうして拓也と光治の取っ組み合いが始まった。
その様子を観戦している三人がいる。
『……拓也君、変わった?』(舞)
『そうかもね。』(明)
そういいながら、明はクスクス笑っている。
『…というより、拓也君に光治が持ってったって、言わなきゃよかったのに。』(舞)
『無駄だ。あいつらは言わば、炎と水、水と油、油と…、いや、プラスとマイナスの関係だ。言わなくてもそうなってた。』(広梳)
ホッ、と明は罪悪感から安堵のため息をついた。
『なんか、最近、あの二人仲いいわよね〜。』(舞)
―何、何、舞さん、光治君がとられたようで悲しいの?―
と、明は言おうと思ったが、恐いので止めた。
…が、その止めた事を広梳は恐いもの知らずのように口に出す。
『なんだ、お前、光治がとられて悲しいってか?』(広梳)
『なっ訳ないじゃない。…私には、好きな人がぃるし。最初、あんなに仲悪かったのにって意味!』(舞)
強く否定したのは、本気の証なのだが、そこを分かっていながら、なお、からかう。
『すぐに否定するのが、なお、怪しいな。』(広梳)
『顔が赤いよ、舞さん。』(明)
つい、楽しくなって自分も参加する。
『明君まで…。』(舞)
弱さをみせるとかわいいと思うお二人だった。いつものギャップからだろう。
顔を下に向けたかと思うと、顔を赤らめながら(僕{明}は勘違いされた恥ずかしさからだと思う)、真っ直ぐ二人を見て、しゃべる。
『広梳、明君?あんた達、あたしを相当怒らせたいらしいわね。』(舞)
そして、普段の彼女に戻る。
『ごめんなさい。』(明)
僕は―しまった―と思い、速攻あやまる。
―チッ、ここまでか。―
と広梳も断念し、悪ぶれるつもりもなく、
『悪かったな。』(広梳)
とだけ言った。
その間にもまだ二人は喧嘩?のようなものをしている。実力的には光治が上、だが、光治は拓也に勝てない。拓也は他の誰もが手に入れようとしてもできない、唯一の最強の武器を持っていた。
センスである。直感ともいいかえられるこの武器は拓也にとって、唯一にして最高、最強の武器だった。
そんな訳で、光治はパンチをうってもよけられ、カウンターをいれられる。そして投げようとしても逆に投げられる始末だった。
『もう、いい加減、諦めたらどうだ?ガルガル君二個で許してやる。』(拓也)
『まだまだ…。』(光治)
光治は拓也が手加減しているので血こそでてないが、ボロボロだった。
拓也はそんな光治を見て、
―これがこいつのアホたるゆえんだな―
と、思い、あわれに思う。そんな拓也の顔を見て、光治はさらにヒートアップし、殴りかかる。
その時、キーンコーンカーンコーン。部会終わりのチャイムがなった。
『チッ、もう少しでの所で…。』(光治)
光治は汗を多量にかいていた。
拓也は受け身なので、あまり汗はかいてないが、別の意味で汗をかいていた。
―あ、危なかった。今のアホのパンチは受け身で手加減できるものじゃない。カウンターしてたら、奴は…―
とまで考え、いや、病院送りで学校が静かになるだけか、と考え直す。最後にそれもよかったかもな。と付け足す。
こうして、事件のない日のたぷ友好会の一日は終わる。
今回は拓也が仲間になった、前話より少し後の話です。人が多いと書きにくくなるので、光明はその日、熱で休みということにしました。今回抜いた分、いつか大活躍させたいと思います。
もちろん、拓也のエピソードもいつかは書くつもりですのでこれからもよろしくお願いします。
ちなみに次は光治の過去の話です。知られざる秘話が今!なんて…。あとでたたかれそう。