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美緒ちゃんが連れてきてくれたのは少しこじんまりとしたお洒落なお店だった。
大学に近いけどこんなお店を知らないからきっと美緒ちゃんのお気に入りの穴場なのだろう。彼女は美味しいものが大好きだからきっと美味しいお店なのだろう。
「何頼む??」
店の中をキョロキョロ見渡していると少しクスクス笑いながら美緒ちゃんが聞いてきた。
「えっと。美緒ちゃんは何にするの?」
メニューには美味しそうなものがいっぱいあって少し悩む。
「えっとね、 クリームスープパスタ。ここはパスタが美味しいから」
美緒ちゃんが頼んだのは冷製パスタだ。
「じゃあカルボナーラにしようかな」
美緒ちゃんはサラダもつけて店員さんを呼んで注文する。
「あのね、舞花。実はね彼氏が……できたんだ。」
そう美緒ちゃんが告白してきたのは料理が届いて二人とも食べ始めた頃だ。
というか、美緒ちゃんは美人で優しいから何ら不思議ではない。
「そう...よかったね!えっと誰か聞いていい?」
そう聞くと美緒ちゃんは少し微笑んで嬉しそうに
「知ってるかな?同じ大学の二年生の松村 灯也っていう人なんだけど」
松村 とも...や?ともやってどこかで聞いたことがあるような
まぁ格別変わっている名前ではないから
「しらないかも?」
なんとなく曖昧な答えになってしまった
「何よ、しらないかもって」
美緒ちゃんはうふふと笑いながら言ってくる
「なんとなく、知ってるかもしれないけどしらないかも知れない」
なにそれぇと言いながらも美緒ちゃんは
「じゃあまた今度会わせてあげる!」
そう言ってお水を飲み干した。