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10.仲間?

 平太が案内された会議室のような小部屋には3人の男女が待っていた。


 コの字型に並べられた長机にそれぞれ一人ずつ座り、右手から順に男二人、女一人が座っている。


 部屋に入ってすぐ、右隅に座るメガネを掛けた男が立ち上った。男は読んでいた本を横に置いて、手を差し出す。


「こんにちは。君が夕凪平太君だね。僕は園崎辰馬。よろしくね」



 園崎の体格は平太よりも少し小さく、ホッソリしていた。

 青いブレザーを着た高校生風の男で、顔立ちはスッキリしており、カッコイイというより可愛らしいと言えるタイプだろう。


 平太が「うす」と答えて手を握ると、園崎は優しく微笑んだ。平太は何故だか頬が熱くなる。何故だか意識してしまう。コレが恋というやつだろうか。


「あははははー。男相手に何赤くなってんの」


 左隅に座った女の子が一連の流れを見て笑う。こちらも高校生くらいだろうか? 長い茶髪をポニーテールにして縛り、輝く程の眩しい笑顔を浮かべていた。

 昴を大和撫子と呼ぶなら、こちらは読者モデルだろうなと心の中で整理した。


 それを聞いていた園崎が微笑みを絶やさずに諌める。


「美蛙ちゃん。(ミカエルちゃん)揚げ足取らないで」



「あははははー。

 前の名前で呼ばないでって何回言わせるのー。私の名前は速水晶良(ハヤミ アキラ)よー。いい加減に覚えてね!!」


「それは源氏名でしょ。戸籍だと土手道美蛙(ドテミチ ミカエル)じゃん」


「ははは。面白いこと言うねー。そんな気持ち悪い名前な訳無いじゃん!!」


 キラキラネームなのに田舎臭さが抜けない素晴らしい名前だと平太は思った。


「君たち喧嘩は辞めてくれ。話が進まない」


 真ん中に座る男が一段と良い椅子にもたれ掛かりながら笑った。モデルのように長い足を組み、高級そうなスーツに身を包んでいる。キッチリ分けた前髪とメガネがやり手の若社長のような印象だった。




「椅子に座りながら失礼。ようこそ緊急時被害縮小対策所へ。私は所長の黒柳夏郎だ。よろしく」


「どうも、夕凪平太です。緊急時.......って何ですか?」


 平太の答えに黒柳は眉尻を上げると、驚いたように声をあげた。


「ここは、緊急時被害縮小対策所と言ってな。簡単に言えば、日本が危機の時に何とかする場所さ......。というより、なんだゴリラ。説明して無かったのか?」


「説明するより見て貰った方が早いと思ったんすよ」


 剛力が壁に寄りかかり、堂々と言い切る。黒柳はため息を吐くと、剛力へ問い返した。


「何処から説明してない?」


「何もしてませんぜ」


「所長。ゴリラ如きに説明なんて出来ませんぜ」


 暮凪が剛力に目を合わさず、明後日の方向を見て呟いた。剛力はそれを聞いて、顔を真っ赤にして言い返そうとする。


 また喧嘩か。平太が耳を塞ごうとしたそんな時、昴が「どうでも良いから座って良い?」と一言呟いた。

 シンとした空気が生まれ、二人の喧嘩は流された。



 平太が園崎の隣に座ると、他の面々も適当な場所に座った。

 それを見計らって黒柳が話を始める。


「さて。剛力が何も話していないとすると、何から話すれば良いかな」


 黒柳は思案したように頬杖を付き、人差し指で顎をトントン叩いた。園崎はそれを見て手をあげる。平太はそれを見て、小学生かよと心の中で毒付いた。


「時系列に沿って話をするのはどうでしょうか? 僕らも緊急招集でしたから分からない部分も多々有りますし」


「そうだな。そしたら一から話をしよう」


 黒柳は頬杖を外すと平太に言った。



「事の始まりは6日前。君が殺人の罪を着せられた日のことだ。『over the world』内で3体のプレイヤーキャラクターが行動を始めた」


「プレイヤーキャラクター?」


 またゲームかよ。平太は何が言いたいのかわからず、間延びしたように問い返した。それを見かねたのか、昴が苛立ったように呟いた。


「さっき脱出する時に説明した通りよ」


「ゲーム内にいるキャラクターが現実の人間を洗脳したって話ですか? そんなバカみたいな話が」


「嘘みたいでしょ。あははは」


 土手道改め速水は平太の言葉に賛同して笑った。黒柳は頭を抱える。


「頭の痛い話だよ。元々は俺らが作ったシステムでな。

 プロジェクトハーメルンという名前なんだが、日本が他国から攻め込まれた時に、敵兵を操る為に使用する予定だったんだよ。

 まさかそれが世界征服に使われてしまうとは、俺らもびっくりだよ」


 黒柳の言葉に、暮凪は昴に蹴られながら補足する。


「とはいえだよ。プロジェクトハーメルンは何回か実験していたけど、上手くいかなかったんだ。出来ても、朝はパンしか食べない人がご飯派になる程度だったんだ。

 それが『over the world』内にある全体放送機能と組み合わせる事で大規模の洗脳を可能にしたようなんだ」


「ふーん。それがそのゲームキャラクターとどう関わるんですか?」


 平太は黒柳に問いかけた。


「ああ。幾ら全てが自由になる『over the world』内でも、マスターキーアカウントが無いと全体放送機能は使えないんだ」


「え!? 何処に俺が関係するんですか?」


「実は、そこに君が関係するんだ」


「なんで?」


 平太の問いに剛力と園崎が笑いながら茶々を入れた。


「もうちょっと考えて行動しろよ」


「僕もあんな状況なら仕方ないと思うけどね」


 黒柳は二人の発言を流し、一呼吸置いてから平太に聞く。


「とある人の証言を聞いたよ。死にかけた京月博士に何かを渡されやしなかったかい?」


「何かって......あ」


 平太は思い出す。暗い路地で手渡されたクシャクシャの紙のことを。


「そうだよ。君が京月博士に託されたであろう紙にマスターキーアカウントのパスワードが書いてあったんだ。

 3人の敵ははそれを見て全体放送機能を使用したんだ」



「えっと。つまりは?」


「あなたが警察に駆け込んでいれば済んだ話だって事よ」


 昴が付けたオチに平太は「なーんてこったい」としか言えなかった。


 会議室が静まり帰る。誰も喋り出そうとしない。それならば。平太は口火を切った。


「それで?」


 黒柳が問い返す。


「それでって何がだい?」


「俺を呼び出したって事は何かあるんでしょ。

 原因を作った男をリンチしたいって言うなら勝手にどうぞ」


 平太の言葉に黒柳は口元を引き上げると嫌味ったらしく言った。黒柳はそれを聞いてニヤリと微笑んだ。


「君には過去に戻って貰いたいのさ。世紀の大天才暮凪様の力でね」


「そう。なら俺をリンチしなよ。そんな事絶対に不可能だから」


「いや、可能さ。簡単だからね」


 暮凪は会話に割って入ると、クソが付くほど長い理論を楽しそうに説明し出した。


(暮凪の理論は長いので別紙に記載します)


「む、難しい」


 平太は話を聞いてその一言しか絞り出せなかった。


「だろうね。趣味の世界だよ」


 園崎も気怠げに呟く。

 黒柳は歯を見せて笑うともう一度お願いをした。


「まあ、理論を理解して貰ったところで、君に頼みたい事は、彼ら4人と一緒にゲームキャラクターとして過去へ戻り、君が見たパスワードを入力する。

 もしくは、3人のゲームキャラクターを退治して欲しい。どうだい? 簡単だろう?」

次話にタイムマシン理論を記載します

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