表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

告白

 DIGが終わったので、Uターン移植しました。他のサイトもぼちぼち試していますが、結局なろうが一番ほかの人と交流しやすいですね……

 重たいドアをおそるおそる押し開くと、拓巳の部屋はカーテン越しの冷たい月明りで満たされていた。寝静まった闇の中に、散らかった文机が青白く浮かび上がっている。

 転ばないよう慎重にゴミをよけながら、危うげな足取りでベッドの脇を抜け、椅子を引き出し、弱々しい溜息とともに腰を下ろす。今もわが身を取り囲む主を持たない視線に震えながら、拓巳は端末器官を通して文書作成ソフトを立ち上げ、ディスプレイの中の白紙を睨んだ。


――どんな瑣末な事柄でも、事件に関わるものは余すところなく書き遺さなければならない――


 拓巳は息を大きく吸い込み、散乱した記憶を拾い集める。ルシフェリンの放つ冷光の上で、ひしめく色素胞が静かに動き出した。



『これは、現在軽傘を騒がせている例の怪談と、並行して起こったいくつかの不正アクセス事件について俺が知っていることの全てだ。俺が置かれている状況は世間が期待しているより幾分深刻だし、俺には俺が危惧している結末を迎える前にこの告白を書き遺す義務がある。そうしなければ、真相を語る人間が誰もいなくなってしまう。

 真実を永らえさせるために、俺は俺の身に起こった事を努めて事務的に語らなくてはならないだろう。これが狂人の妄想の類であればどんなに有りがたいか分からないが、俺の無邪気な楽観は今にも燃え尽きようとしているし、その時誰にも信じてもらえなかったのでは困るからだ。いささか味気ない文章になってしまうかもしれないが、俺に残された時間でどこまで書けるかさえ分からないのだ。許して欲しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ