プロローグー勇者様召喚されるー
勇者がたくさん出てきますがあくまで魔王の話なんです。
いや本当に・・・・・・・・。早く魔王出せるように頑張ります。
魔王を倒すべく勇者様が召喚された。
今、アルカサル王国ではこの噂が国中を駆け巡っていた。
ギルドだろうが酒場だろうが広場だろうが図書館だろうがお役所だろうがどこもかしこもこの噂で持ちきりである。
国民全員が勇者様に期待し魔王を打ち滅ぼして国に平和をと願っていた。
またそんな勇者様を一目見ようと王城には毎日毎日人が詰め掛けていた。
さて、国中がそんな騒ぎになっているなか当の勇者様はというとこの国の陛下と今回一緒に召喚されてしまった幼馴染との間で板ばさみにあい大変困惑していた。
「だぁぁぁぁぁぁぁからっ!!!いきなり異世界に召喚されて『魔王倒してくださいー』なんていわれて了承するわけないでしょう!?だいたい私達ただの高校生だったんだから戦えるわけないし・・・・・。それに他の世界の事情に命懸けられるかっつーの!!!!」
勇者の幼馴染であるマユはテーブルに身を乗り出して向かい側のソファに座る陛下を怒鳴りつけた。ハッキリいって不敬罪もいいとこであるが陛下は特に気にした様子もなしに黙って聞いていた。
「ま、まあまあ落ち着こうよマユ。ほらお茶でも飲んでさ・・・・。」
「あ゛あ゛ん?ユウキあんたは黙ってなさい!!どーせ無駄に正義感が強くてお人好しなあんたのことだからそのうち『俺にできることなら・・・・』とかなんとかいって引き受けちゃうんだから!!そんなの絶対駄目だからね!!」
そうマユに睨まれながら言われて勇者様であるユウキは下を向いて黙り込んだ。どうやらマユに言われた通り引き受けようかなー?と思っていたらしい。
「ってゆーかリュウ、あんたはどう思ってるわけ?さっきから何にも発言してないけどもちろん反対よね?」
マユは同じく召喚されたユウキの隣に座ってずっと目をつぶっていたもう一人の幼馴染、リュウに声をかける。
「・・・・・・・・・・・・自分の世界の問題を異世界のやつに頼るのは間違っていると思う。」
「そうよね!さすがリュウ分かってるわ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だが、異世界に頼らねばならないほど困っていたというならば手を差し伸べたいとも思うな。」
マユはまさかリュウまでそっちサイドなんて・・・・・と驚き声を出せないでいると今だ!とばかりにリュウに便乗してユウキも意見を言った。
「お、俺も助けたいと思う!どうせ来ちゃったんだからさ。」
小さな声だがハッキリといったユウキの発言を聞いた陛下はニンマリと笑いながらマユにむかい
「おや、マユ殿。どうやらユウキ殿とリュウ殿は行って下さるようだが?」
と言い放った。
陛下の勝ち誇った発言を聞き額に青筋を浮かべたマユは30秒くらい考え込んだ後にマリアナ海溝より深いんじゃないか?というような溜息をついた。そしてもう自棄ですよ!自棄!!といったような口調で
「・・・・・・・・・・・・・・・ユウキもリュウもお人よしで言い出したら意地でも撤回しないような今時ありえない熱血馬鹿だもんねー。どーーーーーせ私が何言ったって無駄なんでしょう?ならもう分かったわよ!!!魔王退治でもなんでも行ってやろうじゃないの!!!!その代わり無事退治してきたらちゃんと私達を元の世界に返しなさいよ!いいわね陛下!?」
「ああ約束しよう。では魔王退治よろしく頼むぞ。」
こうして勇者達が召喚された1ヵ月後に勇者とその幼馴染2人にアルカサル王国第2王女であり治癒魔法が得意なハンナと国一番の魔術師であるアニス、国の騎士団の副団長を務めるウォーレスを加えた6人が魔王退治に旅立った。