@Scrap&Earth
2525年。5月13日。PM-12:00~ 旧日本、東京。
-今は昔、この国が日本と呼ばれていた頃。東京はその首都だったそうだ。
背の高いビルが立ち並び、ただの交差点や道が人で溢れ返り、夜でも人の足が絶える事がないとまでいわれたそうだ。
窓の外をのぞくとその名残とも呼べるような光景が広がっている。
今の世の中はアントニムと呼ばれる機械軍との戦争が続く戦乱とも呼べるべき時代だが、ここはそれに巻き込まれるときにはすでにその姿を消していた。
2213年だったか、日本列島はこれまでにない大きな地震により壊滅的な打撃、いや、その時に壊滅したといっておこうか…
地面は割れ、波に飲まれ、現在の日本の形は昔のそれと似て非なるものとなった。
マグニチュードは計れなかったそうだ。
この天災からすでに300年以上が経つが未だにその被害の影響は出ている。
例えば地形。
東京もだいぶやられている。
本来ならもっと早く到着しているはずなのだが、道路の舗装が全ての地域に行き届いているわけではないしこの辺りはところどころ浸水したりしている。
まだ走れるといった道路だってひび割れていたりするのでだいぶ揺れる。
うう…なんか気持ち悪い。
やはり軍のトレーラーで日誌は書くものんじゃないな。
早々に書き連ねよう。
そういえば近いうちに雨が降る時期になるな。
梅雨の季節は嫌いじゃないが、今のこの国にとっては危ないんじゃないか?
土砂崩れとかが懸念される。
まぁ今は自分の事を心配するべきか。
今回うちの隊に下された任務は東京でのアントニム討伐任務だ。
妨害電波を発するそれを見つけ出して破壊しなくてはいけない。
このままだと敵がレーダーに映らないし通信もまともに出来ない。
この状態が続けば間違いなく敵にやられるだろう。
だからこの任務はそれなりに重要なのだがうちの隊だけで大丈夫なのだろうか?
12人だぜ?
まぁこの任務で命を落とさないことを願うばかりである-
「ふう…」
俺は日誌を閉じ一息つく。
少し無心に書いていたがどことなく気持ち悪い。
やはり乗り物で日誌を書くのは出来るだけ控えよう。
「時雨っちはさっきから何してんのー!?」
「ぐわっ!?」
後ろから思いっきりタックルを食らい、俺はそのまま顔を窓にぶつける。
「あれ、大丈夫?」
「何してんだこの馬鹿!」
俺はそう言いながらタックルをかまして来た主、鈴木 仁にヘッドロックを決めて頭に拳をぐりぐりした。
「いだだだだだだ、いやマジですみません!」
「俺らの隊が上下関係あまり無いって言ったってこれはひどいだろ」
「まぁ上下関係があっても僕は時雨っちには敬意を払う気はありませんけどね♪」
「ふん!」
「ふぐぅ!」
腹部に一撃決めてやる。
「おおぅ…この容赦の無い攻撃、さすがです。惚れちゃいますよ…」
「きもいぞ。で、なんのようだ?」
腹部を押さえながらそんな事を言う仁に軽く毒づいて俺は腕を組む。
「ああ、時雨っちが一人で寂しそうに窓の外を見ながら何かをカリカリしてたんで誘ってあげようかと」
「何に?」
「UNO」
「お前ら何してんの!?」