つづき
担がれた私は、お腹に食い込み痛みを発する男の肩、意外に心地好い揺れに意識が薄れていった。
「あ!おはようございます!」
「あ?」
目覚めた私の目の前には、マロンブラウンが一番に目に入り、何かと思えばベリーショートの青年がいた。
身じろぐと、私の体に巻かれていた紐は無くなっていた。
ここはどこ?
ぼんやりと目の前の青年を見ると、黒髪のイケメンとは系統がちがう、目元が優しげなフツメン。
小動物の様にみえるが、意外に身長は高い。
今度はイケメンじゃないのか。残念。
まだこの人を含め、2人しか会った事無いが、この世界の人は身長高いのか…?
18…190位?流石に2mはないと思うが。
160ぎりぎりの自分だと、きっと見上げて首が痛くなる体験が出来るだろう。
「あの、大丈夫…ですか?」
黙ってしまった私に、再度問いかけてくる青年。
「大丈夫…です。ここはどこですか?」
あと、黒髪イケメンはどこですか?さっきの件で一発ぶん殴りたいんですけど。ん?あと、日本語通じてるな。異世界補正がかかってるのか?
「良かったぁ…いきなりラルフが…あ、黒髪の連れなんですけど、貴女を抱えて帰って来たので驚いてしまって…。今、お水持って来ますね」
青年は立ち上がりカーテンを避け、席を外した。
遠くでカチャカチャと音がする。
あー…話を整理しよう。
掛け布団よーし、パジャマよーし。
なになに。黒髪イケメンがラルフで、私は連れられてきた。
それで、今の彼はラルフの連れ…やだ、どうしよう。
ふたりはプリキュ…じゃない、カップルなのか?!
連れとか言っちゃうなんて!
うひ!異世界で!!
美形×平凡!
補正が入っているのか、言葉通じるみたいだし。
ラルフって奴は気に入らないが、彼は優しそうだしパーラダーイスになるんじゃ。
まてよ?
でも、それが普通の場合もあるよなー。もほもほしてるのが。
「帰ってきたら聞いてみようかな。はあ、なんか安心したら眠い…」