合いの手
はい、ありがとうございます。
神様!とか言ってみたけど、これが愛の手ですか?
今まで都合の良いときだけ、神頼みしてました。
神の助け!
イケメソ発見!
勝ち組!
歩き続けて、周りは草原。と、変化がなく今日は野宿の可能性が…なんて思い始めていたが、人間発見しました。
そして捕獲される私。
あれ?
助けに来たんじゃないの?
「言葉わかります?私、危険じゃありませんよ?人間、人間です。アイアムぴーぷる」
心許ない英語力と、両手を上に上げ、身振り手振りで対応してみるが、腕から足までをグルグル巻にされる私。
布団ごと巻かれているせいか、痛くは無いが。
しかし、この状態で待っている未来は、平和であるはずが無いに決まっている。
自由に動くのは口のみ。
「ちょっと、女子をグルグルに巻くなんて、いくらイケメンでも駄目だと思う!イケメンだからってなんでも許されるとか思うんじゃねぇぞ!」
どんなに喚こうと、やつの動きは止まらず、上から下までしっかりと巻かれた。
その間、男は一言も話さず、無言のまま。
はらりと耳から落ちる黒髪がなんとも色っぽい。
よく見ると、目の色が新緑の様な明るい緑。鼻筋も通っていて、日本人顔ではない。
ううん、どうみてもイケメン。きっと無口な大型ワンコ攻め。じゅるり。
「って違う!そうじゃない。私はただの、しがない25歳独身、名前は川上 八汐、性別女の子なちょっぴり腐ってるだけだってば!なぜにこの対応?!悪いことはしてない、善良な一般人だし、人違いです!」
日本語が通じてるのか分からないまま、奴に言い続ける。
ちらり、とこちらを見たがすぐに視線はそらされ、八汐は荷物のように、持ち上げられた。
「に、人間なら言葉をはなせ!」