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根暗の端っこ暮らし -主人公席から一番遠いとこ-

掲載日:2026/01/30

私は、主人公席の正反対——廊下側の最前に居るような根暗だ。

あいにく、図書室に行く勇気すら持ち合わせていない。


「えっと、ソウカンさん」「……アイゼキです」


名前を間違えられるのもこれで何回目になるだろうか。

間違えるくらいなら二人称でいいのに。


その女生徒の視線は、机の正面に貼られた名前。

もちろんそこには苗字の「相関」しか書かれておらず、名前すら覚えられてはいない。


そもそも、名簿一番なんてあ行で限られるんだから"そ"なわけないよね。


「その…まだ競技届出してないみたいだからさ」「欠席届を出しました」


それ以上何も言われなかったのだから、言い方を間違えたんだ。

私じゃなくて、彼女が。


「そっか、分かったよ」


私は彼女の顔を見る事なく、一限の用意をして授業に臨んだ。




おかしい。

どうして、時計の針は1時を指しているのだろう。

——ああ、居眠りをかましてしまったらしい。


これでも、メンタルには自信がある。


私は身を起こし、鞄からお弁当を取り出して、箸を入れては口に運ぶ。

勿体無いと思われるかもしれないけど、どうやらこれが私の日常らしい。

私とて満足しているのだろう。


現にこうして、地味ながらも生きている。

誰かの取り巻きとしてではなく、私は私として生きている。


おっと、少し痛い人みたいになってしまった。



特にやる事も無いし、今日は勉学を億劫にしたい日なのかもしれない。

鈍いチャイムの音と同時に、私は再び夢へと墜ちていった。



まどろみの中で、誰かの声が聞こえた気がした。


《こいつどう思う?》

《磨けば光るタイプなんじゃない?》

《何、お前ブ専なの》

《違うよ》

《まぁ厚化粧してる金田よりかは整った顔してるわな》

《ちょっとそこ聞こえてるって》


……私だって聞こえてるんだが。

何ですか、磨けば光るって。

気にはしないけど。


私は目が覚めた。


放課後なのに教室に残って駄弁っている彼らを横目に、私はいつも通り帰宅した。


夕日が、私の瞳を伊達眼鏡越しに焼く。


「今日の晩御飯はなんだろう」


学校に興味はないけれど、嫌いというわけじゃない。

そんな気がした。




あれ、提出物出したっけ——。



ご一読ありがとうございました。

誰の人生の主人公でもない、そんな瞬間の空気感を切り取ってみました。


たまには短編も書いてみるものですね。

この作品と同時にもう一作、ギャグホラーの短編を投稿していますので気になる方はどうぞ。

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