潜入捜査スタート
黒の燕尾服に、ルビーのブローチ。
襟元には、ひっそりと輝くブルーダイヤ。
鏡に映るのは──完璧な“カリス”。
……うん、これなら誰が見ても麗しの美青年(中身:乙女)だ。
「潜入前に打ち合わせしたいから、明朝バレないように僕の部屋に来て」
昨日、そう言ったのはノア殿下。
(あの“推し”の寝室に!?
……落ち着け私。推し活じゃない。これは任務。生死がかかってる任務!!)
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そして今。
王宮のノア殿下の私室に潜入した私は、なぜか筋肉と殺気の塊みたいな男の人と対峙していた。
「そなたが、ラービス・カリスか?」
低音ボイス。背丈190超え。腰には剣。
視線だけで人が死ぬ。
(出た……原作でも出てきた!ラスタ・ジョンレノン!
ノア殿下の忠臣で最強護衛!あの“眉間の皺”で十人倒せる男!!)
「はいっ!そうです!カリスですっ!!」
ガチガチの敬礼。
内心ビビり散らかしながらソファに座ると、ラスタの視線が刺さる。
(ひいぃ……絶対“ひょろひょろの令息のくせに殿下に寵愛されて"って思ってる……!
危険人物扱いされてる、絶対に!!)
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その時、背後から聞こえたのは、まるで月光のような声。
「カリスくん、来たんだね。待ってたよ。」
……うん。声はノア殿下。
でも目の前にいるのは──
絶世の美女。
金髪の巻き髪が肩に流れ、水色のドレスが眩しく光る。
隣には満面の笑みのルーナ王女。
「ルーナ王女もご一緒でしたか。ご挨拶が遅れ申し訳ありません」
「ふふ、気にしないで。あなたがラービス・カリスくんね?……本当に美しい顔ね。女の子みたい」
(ひぃ!観察眼の鋭さが王族レベル……いや、もはやスキャン機能搭載!?
この姉弟にバレたら、"性別詐称=国家反逆罪”で打ち首一直線よ!!)
「あ、あの…その、そこにおられる絶世の美女はどなたで……?」
「ノアよ!」
「そうですか、ノア殿下ですか……って、ノア殿下ぁぁぁぁ!?!?」
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思わずソファから飛び上がるカリス。
金髪の美女が、涼しい顔でウインクする。
「ふふふ。君は本当にいい反応をするね」
(だ、だめだこの人……!!美形が極まって性別の壁すら超越してる!!)
「ど、どうして殿下が女装などを……?」
「潜入のためだよ。ラーチェ伯爵は美女に目がないからね。」
「で、ですが殿下が女装されなくても……!」
ラスタがすかさず低い声で言う。
「この国一の美男子に勝てる令嬢がいるとでも?」
「……た、確かに!!」
(秒で納得したわ私!だって現に美しすぎるんだもん!)
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ノア殿下は微笑む。
「今回の任務は単純だよ。
僕を護衛して、ラーチェ伯爵の館から無事に帰すこと。
君とラスタは僕の騎士として動いてもらう」
(いや待って。推しが女装して、私が護衛で、しかも潜入……!?これ、原作にあった!?
なかったよね!?完全に新ルート開通してるんですけど!?!?)
「そうそう。今日から僕のことは“ノアーチェ嬢”と呼んでね?」
「……はい。わかりました、ノアーチェ様。」
(え、何この新世界線。尊死とバレ死のダブルリスクなんだけど!?!?)




