ギャル?に優しい?オタク?の話(3)
ギャルっぽい人とオタクっぽい人の話、第3話です。
今、私は駅前の喫茶店にいる。優子ちゃんに「2人で話がしたい」と誘われたので、ここで集まることにした。
「すみません、お待たせしました。」
「大丈夫だよ。私が早く着きすぎちゃっただけだし。」
優子ちゃんが謝るが、今は約束の10分前だ。むしろ、私がそわそわしすぎて40分前に来てしまっただけだ。
店に入り、注文を終えた私達に少し沈黙が走る。
優子ちゃんが沈黙を破る。
「お聞きしたいことがあるのです。貴女と、涼平くん達との関係について。」
私は少し驚いた。なぜなら…
「宍戸くんから聞いてないの?」
「いえ、簡単には聞きました。塾が同じで、話し掛けたらお兄様がサッカーをしていて、そこから知り合っていったと…ですが、彼の性格上、いきなり女子…しかも他校の女子に話し掛けるのはあり得ないと思いまして。」
優子ちゃん鋭いな。…っていうか、宍戸くん肝心なこと言ってないのか。
優子ちゃんは話を続ける。
「ですので、実際どのように出会ったのかを教えてほしいのです。…あ、別に関係性を疑っているわけではありません。ただ、私が知りたいだけなんです。」
優子ちゃんは真剣な目で私を見る。私自身にとっても恥ずかしい話だけど、話そう。
そして、私は簡単に話をした。宍戸くんと大宅くんがじゃれあっているのをカツアゲと勘違いしたこと、その後に話をして2人とお兄ちゃんがサッカーをしていたのを知ったこと、私を迎えに来たお兄ちゃんとサッカー談義したこと、後日にたまたま2人が私の通う塾に入ったこと…
話し終えた後、優子ちゃんを見ると、頭を抱えていた。
「も、申し訳ありません…」
「な、なんで謝るの!?私が勘違いしちゃったのが悪いんだし!」
「…彼と会うたびに、勘違いさせる行動を取るなと伝えていたのですが…」
「あ、あの時は優子ちゃんと付き合う事が出来るって喜んでたらしくて…!」
あ、言っちゃった。優子ちゃんの顔が赤くなる。
「そ、そ、そ、それでも!勘違いさせる方が悪いんです!ちゃんと言っておきます!」
私は「う、うん…」としか言えなかった…優子ちゃん可愛い。
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「それにしても...優子ちゃんと宍戸くんはどうやって恋人同士になったの?」
私は疑問に思ったことを話す。
優子ちゃんは私の質問を聞いて、ふうと息をつく。
「まあ、意外とは思いますよね。私と涼平くんは全然違うタイプですし。」
「えっ!そ、そ、そんなこと…思って…は…いるけど…」
「ですよね。私にはそれが良かったんですよね。」
へぇー...そうなんだ…違うからこその良さがあるのかな?
優子ちゃんは話を続ける。
「そもそも、小学生の時に、涼平くんが私に話し掛けたのがきっかけでした。最初は見た目が恐い!と思ってたんですが…話していくうちに、恐いよりも軽いという気持ちが強くなって…あの人、結構男女構わずどんどん話し掛けていくじゃないですか。」
「ああー…確かに...」
「でも、ある日気付いたんです。私と他の女子との対応が違うって…そこから惹かれていって…最後の大会の前に、つい言ってしまいました。『引退したら付き合っても良いですよ』って…」
優子ちゃんが照れてる。可愛い。
「優子ちゃん可愛い。」
つい口に出てしまった。優子ちゃんの顔が再び赤くなった。
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しばらく、ケーキを楽しみながらとりとめの無い話をしていると、優子ちゃんが語りかけた。
「私は違うタイプの方が良かったですが、瑠美さんは逆ですよね。2人とも結構真面目なタイプですし。」
「えっ?何が?」
優子ちゃんが「嘘でしょ…」って顔をしている…いや本当に何が?
「…大宅さんの事ですけど。」
「何で大宅くんの名前が?」
「嘘でしょ…」
ま、全く分からない…!一体何の話?
「…はっきり言いますね。瑠美さんは大宅さんに恋をしていますよね?」
「えっ!?」
「えっ!?」
「…」
「…」
沈黙が走る。
何か優子ちゃんがぶつぶつ言ってる…
〔う、嘘でしょ…自覚していないのですか…あんなに焼きもちみたいな反応していたり、試合中もしっかり見ていたりしていたのに…!?…もしかして…!〕
ふと、優子ちゃんが私を見て話し掛ける。
「瑠美さん、突然ですがあなた恋をしたことはありますか?」
「えっ!?何いきなり!?…いや、無いけど…」
「なるほど...」
再び優子ちゃんは考え事を始めた。
しばらくすると、優子ちゃんは何かを閃いたようで、話を始めた。
「クリスマス会をしましょう。」
「えっ!?」
「私達4人とも、多少の不安はあれども志望校の合格圏内には十分入っております。息抜きとして楽しみましょう。」
「いや、まあ、良いんだけど…ずいぶんいきなりだね…?」
「午後は4人で集まるにして…午前は私と涼平くんは買い出しを兼ねてデートへ行きますので、お2人には私達とは別行動で買い出しをお願いしたいです。」
「えっ、い、良いけど…ん?これって…」
「言質は取りましたからね。ね?」
優子ちゃんの謎の迫力に、私は頷くしかなかった…
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家に帰ると、お兄ちゃんがいた。
「あれ?お兄ちゃんどうしたの?」
「ちょうど良かった、瑠美に用事があったんだ。」
「私に?」
「ああ、クリスマスの日にうちのサッカー部でパーティーをしようと思ってな。昼の部に公徳と涼平、優子ちゃんと一緒に参加をしないか?」
「その日は4人でパーティーをする予定なの。それに、午前中は宍戸くんと優子ちゃんはデートだよ。私と大宅くんも買い出しに行くし。」
「そうか、それは残念。…ん?買い出し?」
「?そうだけど…」
「…!ふーん…なるほどね…」
「何?」
「何でもねーよ。受験勉強もあるだろうけど、その日くらいはしっかり息抜きしなよ。」
「う、うん…ありがと…」
お兄ちゃんが帰った後、私は部屋で考える。
(お兄ちゃんの反応…もしかして、私と大宅くんが付き合ってるとか思ってるのかな…皆して何なの!もう!)
確かに、大宅くんはちょっとオタク気質はあるけどいい人だし、サッカーをしている姿は…その…格好良かったし…でも!これは恋じゃない!…多分…
「もう…わからないよぉ…」
その日はずっと考えていたけど、結局答えは見つからなかった。
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今日はクリスマス。夕方からは優子ちゃんの家でパーティーだ。
今は午前、駅前のショッピングモールにいる。大宅くんと2人で。
(何か…あの日から変に意識しちゃうんだよね…!)
「鷺谷さん。」
大宅くんの声にドキッとする。
「な、何?どうしたの?」
「いや、少し確認したくて…」
大宅くんはMANEのトーク画面を見せる。今回のお買い物メモだ。
「…雑!」
宍戸くんが送ったメモには、【何かいい感じのお菓子】【何かいい感じの飲み物】【何かいい感じのプレゼント】と書いてあった。
「まあ、雑だよな。」
大宅くんもそう思ったみたい。うーん…まあ、いいや!
「取り敢えず、一通り回ろう!回ってから考えようよ!」
私の提案に、大宅くんは少し考えたあと、「わかった。」と言ってくれた。
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一通り回って、ある程度買うものを決めた。直ぐに無くなるものではないので、腹ごしらえをしてから買いに行こうと言うことで、私達は今ファミレスにいる。
昼食も一段落して、ドリンクバーから席に戻ると、大宅くんと誰かが話しをしていた。
凄く綺麗な女の人が大宅くんと話をしている。
(楽しそう…)
上手く聞き取れないけど、恐らくサッカーの話だろう。物凄い勢いで話をしている。
女の人はそれをニコニコしながら聞いている。
(何か…何か嫌!)
私は素早く席に着いた。女の人が驚いている。
「ちょ…公徳くん!女の子と一緒だったの!?」
「ああ、はい、そうですけど…」
「先に言いなさいよ!…ご、ごめんね!デート中に!」
「デッ!?」
デートじゃない!って私が否定する前に女の人が喋り出す。
「私、公徳くんが昔いた少年サッカーチームのコーチをしていたの。久し振りに会ったからつい声を掛けちゃって…」
「そ、そうだったんですね…」
良かった…良かった?何が?
女の人は話を続ける。
「彼女さん、大丈夫?この子、サッカーの事になると喋りが止まらなくなるけど…」
「だ、大丈夫です…!私もサッカーは好きな方ですし、オタクくんには慣れてますから...!」
「オ、オタクくん…!?…ふっ!ふふっ!良いね!それ!」
しまった。勉強会でたまに言ってたあだ名をつい言ってしまった…!勉強会の雑談中に大宅くんの話が止まらなくなると、私と宍戸くんで【オタクくんモード】と話していたのがつい出てしまった。
…まあ、でもウケているみたいだし、良いか!
当の大宅くんは「そんなに笑わなくても...!」と少々困惑している。
ひとしきり笑ったあと、女の人は私達と少し話をして別れた。どうやら小学生のお子様がチームに入ったので、たまには遊びに来てほしいと話をしていたらしい。…あの人そんなに大きな子供がいたんだ…!若さの秘訣を教えてほしい…!私はまだ中学生だけど。
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買い物が一段落したので、私達は優子ちゃんの家に向かっている。
「…結構買ったな。」
「…うん…重い…!」
ついつい買いすぎてしまった。しかも今日は1泊するので自分の荷物も結構ある…うう…重い…!
「鷺谷さん、持つぞ。」
「オタクくん…!」
「…その呼び方、止めないんだな。」
「うーん…何かしっくり来ちゃって!今日からオタクくんね!」
「何がしっくりなのかは良くわからんが…じゃあ、俺も好きに呼んでいいんだな?」
「い、良いよ!どんと来い!」
「じゃあ…」
何か…物凄く考えてるな…!ここまで真剣になるほどかな…?
思い付いたみたいで、オタクくんは私の方を向いた。
「瑠美」
ドキッ
急に名前を呼ばれてドキドキした…何か心臓がうるさい…!何これ…!?
「い、今の無し!鷺谷!これでいいだろう!」
オタクくんの顔が赤い。宍戸くんですら苗字で呼ぶくらいなんだもん、女子を名前で呼ぶことは初めてかもしれないな…だから恥ずかしいのだろう。
(何か…照れた顔少し可愛いかも…)
色んな表情を見られて、今日は少しラッキーかもしれない。
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そして私達は優子ちゃんの家でパーティーを始めた。
ケーキを食べた後はトランプやボードゲームで遊んだり、サッカーのハイライト動画を見たり…とても充実した1日を過ごせた!物凄く夜更かししちゃったけど、中学最後のクリスマスにいい思い出が出来た。
高校受験まであと少し、第一志望に向けて頑張るぞ!
次回、この話は最終回です!
勉強会とクリスマスパーティーの詳細はいずれ番外編で作ろうかと思います。




