ホワイトデー特別編2026(前編)
ホワイトデー特別編です。今回は渡す側の話です。
「これより!!!ホワイトデー大作戦を開始する!!!」
ある男の家のキッチンに、4人の男たちが立っている。
先導しているのは大宅 公徳。サッカー部では、俺達の代のまとめ役をしている。
俺達4人は公徳の家でホワイトデーのお返しを作ろうとしている。
そのうちの1人である俺…宍戸 涼平は隣に立っている福谷 恭史郎に話しかける。
「っていうか福谷、お前も貰ってたのかよ。」
「義理だけどな。」
「へー…誰から?」
「凜々花だよ。同じ中学だっただろ?」
「あー…いやお前、それって…むぐっ」
突然後ろから口を塞がれる。
〔宍戸!しーっ!〕
〔わ、わりい…〕
「?」
「いや、何でもねえよ、恭史郎。大宅、続けてくれ。」
口を塞いだ本人…柳木 充暁がそう言うと、公徳は再び話し出した。
「ああ…と言うことで、俺達は今からアップルパイを作る!」
「何でアップルパイ?」
福谷が疑問を問いかける。たしかに、何故アップルパイを作るんだろうか。
「調べたところ、アップルパイ…というより、パイには特別な意味が無いらしいんだ。」
「いやいやいや…それだったら意味ねえじゃん。」
「話は最後まで聞け。…パイともう一つ、お菓子を用意するんだ。」
「なるほど、そのお菓子を意味のあるものにするんだな。」
「その通りだ。」
「でもよ、その意味のあるお菓子を作りゃ良いんじゃねえの?」
福谷と公徳が話していると、柳木が話に入ってきた。そうだよな…最初からそれを作れば良いのに。そう思っていると、公徳が俺達に問いかける。
「理由は簡単だ。お前たち、仮に作るとしたら何を作る?作れる作れないは置いとくとしてだ。」
「マカロンだな。」
「飴!」
「うーん…無難にクッキーかチョコか…あ、なるほど。」
「そうだ。バラバラだと俺が見きれん。」
柳木がマカロン、俺が飴、福谷がクッキーかチョコ…確かに、同時に作るのは大変だな。しかも、俺達はお菓子作りが出来ないから公徳に教えを請っている状態だからなおさらだ。
「理由はわかったな。では、早速始めるぞ。まず…」
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「ふむ。初めてにしては上出来だな。十分人に渡せるレベルだ。」
「マジで!?やったぜ!」
俺がはしゃいでいると、公徳は俺達に話し出す。
「と、言うわけで…今日は解散だ。あとは各自、お菓子を買うが良い。」
「何で一緒に行かねーんだよ?行こうぜ。」
俺が疑問に思うと、公徳は堂々と話し出した。
「恥ずかしいからに決まっているだろう。」
「…お前って恥ずかしいって感情あるんだな。」
福谷がそう言う。…確かに!
「俺をなんだと思っているんだ。」
「筋肉眼鏡。」
「マッスルオタクサイボーグ。」
「ムキムキ真面目オタク!」
「全員張り倒すぞ。…まあいい。とにかく今日は解散だ。帰れ。また学校で。」
そうして俺達は各々自分の家に帰っていった…
心なしか、公徳の顔が紅かったのは気のせいじゃないのかもしれない。
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「♪~」
「上機嫌だな、海斗。」
俺、三浦 海斗はさっき話してきた瀬井山 寛信にクッキーを振る舞おうとしている。…ホワイトデーのついでで。
「まあね。ホワイトデーにこうやって手作りのものを送るなんて無かったし。」
「海斗が作るものは大体俺達の胃の中に入るもんな。」
「そうだよ!…まさか、俺に彼女が出来るなんてな…」
そう、俺は最近同じクラスの増田 碧さんと付き合い始めた。俺に彼女が出来るなんて夢にも思わなかったな…
「…海斗は自分を低く見積もりすぎだよ。」
「いやいやいや…結構ちゃんと評価してると思うんだけどな…ホイ、出来たぞ。クッキー。」
「おお!旨そう!…んで、増田さんには何を作るの?」
「マカロン。」
「…マカロンって作れるの?」
「作れるよー、めちゃくちゃ難しいけど。」
「…やっぱお前すげえわ。」
そんなにすごいかな?…まあ、寛信は料理が苦手だからな。出来ない側からしたら出来るやつはとんでもなく優秀に見えるんだろう。
「…よし、上手くいった!」
よし、良い感じになったな。
そう思っていると、2人の男が俺の家に入ってきた。中学からの友人、綾瀬 輝星と志田 悠希だ。
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俺作のクッキーをつまんでいる最中、俺は3人に疑問を投げ掛ける。
「っていうか、お前らはしないの?お返し。」
「するよ?徳用チョコ。」
「寛信はそうだろうな…輝星と悠希は?…と、悠希は決まってるな。」
「当然、光咲にだけ返すよ。輝星は?お前結構貰っただろ?」
「…実は、1人だけちゃんとお返ししたい人がいる。誰かはまだ言わねえ。」
「えっ!?マジ!?いやいやいや教えろよ!俺とお前の仲だろ!」
「そんな人がいたんだな…海斗は誰かわかる?」
「…ワカンナイ。」
「…海斗って嘘下手だよね。」
「ウ、ウソジャナイ!ホント!」
「…まあ、今回は聞かないでやろう。て言うか輝星、お前海斗にだけ言ってたのかよ!水臭いぞ!」
悠希の言葉に、輝星は少し焦ったように話し始める。
「…いや、言ってない。」
「…えっ」
「俺は、海斗に、何も言ってない。…海斗、お前が思っている人を耳打ちしてくれ。2人に聞こえないようにな。」
「OK。」
「…正解。」
「マジで!?海斗何でわかるんだよ!?」
「え?…普段の様子見たらわかるだろ…」
「…」
「…」
「…」
「え?俺なんか変なこといった!?」
「いいや?…やっぱすごいな…海斗。」
何がすごいんだろうと思いつつ…まあそれでも、褒められるのは悪くないかなと思う俺であった…
碧さんに美味しいって言って貰えるといいなあ…
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ホワイトデー1週間前の昼休み。俺…金山 駿太は友人である西郷 慶太と、富野 洋介に話しかける。
「慶太、洋介、手伝ってくれ。」
「え?何?急に…」
「ホワイトデーのお返しが決まらない!」
そう、俺の最近の悩みはホワイトデー。去年関係性が変わった幼なじみの梁瀬 小春へのお返しをどうするのかで悩んでいるのだ。
「ち、ちなみに、去年は?」
「一緒にチョコ食べた。」
洋介の問いに俺は答える。すると、洋介ははっとした表情をした。
「ああ、うん、なるほど…関係性が変わったから、今年は変えたいわけだね。」
「そういうこと。なあ洋介、何かいい案は無いか?」
「うーん…ねえ慶太?何か無い?」
俺と洋介がうんうん唸っていると、突然慶太が立ち上がった。
「ちょっと待って!俺聞いてくる!」
「え?慶太?な、何を?」
「良いから良いから、待ってろって!」
そう言って、慶太は教室から飛び出していった。
誰に何を聞くんだよ。
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少ししたあと、慶太は俺達のいる教室に飛び込んできた。いや、早いな。
「聞いてきたぞ!」
「いや、あの、慶太…誰に?」
洋介の疑問に慶太は答える。
「奥島さん!涼平の彼女の!」
「ああ、あのサッカー部の…何で?」
「駅前のカフェ、あそこが奥島さんのお父さんの会社が経営してる店らしくて…ホワイトデーフェアをやってるんだって!それで、予約したらカップル用のセットを用意してくれるって言うから、空いてる時間を確認してもらったんだ!」
「な、なるほど…いいねそれ。」
慶太の説明を聞いて、洋介は感心している。
すると、慶太がおずおずと話し始めた。
「それで…物は相談なんだけど…」
「?どうしたの?」
「トリプルデート…しねえ?」
トリプルデート…ということは…俺と小春、洋介と由良川さん、慶太と坂田さんが集まってデートをするというわけか…なるほど、興味はあるな。
俺がそう思っていると、洋介が口を開いた。
「…ちょっと面白そうかも。ねえ駿太、やってみようよ。」
「…そうだな。小春に話してみるよ。」
「本当か!?そうと決まれば!MANEグループ作ろうぜ!」
「そうだね。色々ルートを考えよう!」
楽しそうに話す2人を見て、俺も楽しみになってきた。
2人きりのデートも楽しいが、友達とワイワイ話しながらのお出掛けも楽しそうだなと、俺は思うのであった…
おしまい
次回は…受け取る側の話です。お楽しみに!




